いよいよ小説も大詰めです。
15章で出てくるヤファイ族の男性のキャリアラダーのモデルにしたのは、中世北欧のヴァイキングです。彼らは一生涯、船に乗って外国を襲撃していたわけではなく、遠征は若い一時期の武者修行のようなものだったとされています。少なくとも彼らの口承文芸ではそのように描かれています。
「彼の地では海賊は名誉ある職業であり、産業である。ヤファイ族の子弟は若い間は一族の若頭に率いられて海賊で稼ぎ、まとまった財産を作り、それを元手に独立するのだ。どちらの戦士が洋上で強いか、問うまでもない。」
また、チェレク連隊がこれから上陸するグディニャ君主国の社会は、近世の東欧をある部分で、モデルとしています。グディニャ大使館の前でヴァンカレムが言っていましたが、グディニャ君主国の大地主の規模は、貴族階級そのものが緩やかに融解しつつあるアルソウム連合王国とは逆に、上昇傾向にあるという設定です。
それが何故なのかは、たぶん15章で書けると思います。
(もしかしたらグディニャ情勢を語る章は15章と16章に分裂増殖するかも)
これまでアルソウム連合王国とグディニャ君主国の交易についての記述の中で伏線を張ってきましたが、そのようなグディニャ君主国の社会の変化は、決してグディニャ国内で完結している事象ではなく、国際貿易や国際金融がその背後にあります。