Pixiv論文事件はそろそろPixivの社長が出て来て話をすべき段階と思います

風邪でグラグラするアタマでここ数日、AI研究の修士課程1年がPixivのR18テクストを分析に使って炎上した事件を追い続けていました。

議論自体は「法的にグレーゾーン、研究倫理上も問題ある」派(人文系、左翼系の人)から、「研究倫理上も問題無し」派(理系中心)まで色々ですが、大勢としては法的にはまず問題無かろうというところで決着しつつあります。

しかしながらオタク世界の人々の多くは全く納得しておらず、法的には問題無いかもしれないが、ムラのルールは守れという主張が続いています。

この事件を見ていて感じたのは、匿名を圧倒的に好む日本社会の弱点です。

とにかく議論している人のうち、実名か通名かを問わずリアル社会で使っている名前を出して発言している人がほとんどいない。特にオタク世界の人々はもしかしたら一人もいないかもしれない。みんな萌え絵アイコンの匿名さんか、フェイスブックの場合は友人も過去ポストも一切無い、本案件専用の捨てアカウントばかり。

研究者は研究者で、所属と氏名を明かして建設的な議論をしようとしたのは3人か4人くらいじゃないかな。もちろん「あーあ、なにやってんだよ」とか「正直困るんですよねえ、こういう風にフィールド荒らされるの┐(´д`)┌ヤレヤレ」みたいに他人事として何か言ってた人はもっと居ますけどもね。

さて、この事件をファンタジー小説っぽく例えると「ムラ社会に迷い込んだよそ者が慣習を知らずに引き起こした騒ぎ」で、「怒った村人が仮面をかぶり手には棍棒を持ってよそ者のところに大挙して押しかけた」ような状態です。

この先どうするのか。ファンタジー小説だったら村の長老が出てきて

「旅の人、この村には村の掟があって、そなたは知らないとは言え掟を破ってしまったのじゃ。今回はワシが村の者たちを宥めておくが、そなたも今後は村の掟を尊重してくだされ。またそなたのお仲間たちにも、この村の掟について知らせておいてくださらんか。」

なんて仲裁して、旅人たちも年長者が

「村長どの、この度は知らなかったこととはいえ、村びとたちを驚かせてしまったこと、まことに申し訳ない。この通り伏してお詫び申し上げる。また我々の仲間たちにもこの村の掟については必ず伝えるので、どうか怒りを解いて頂きたい」

くらいは言って、そっから色々と物語が展開していくでしょう。

ちなみに学会は学会でムラ社会ですからねたいがい。長老制の(だからこういう時は長老が出て来るべき)。

じゃあこの場合はどうなるべきか。

私が最善と思うのは、Pixivの社長が出てきて、Pixivユーザーには院生へのバッシングを自重するよう呼びかけると同時に、人工知能学会に対して今後の研究についてのガイドライン協定の締結を提案する。そして他の分野の研究者に対しても、Pixiv=人工知能学会研究協定に準じた研究の実施を呼びかける。そうすればPixivユーザーも今後は安心してサービスを使えるし、研究者もムラの掟をいちから学ばなくとも安心してPixivの研究が出来る。みんな安心。

つまり、そろそろ実名で双方のムラ長が出てきて手打ちをする。そういう段階なんじゃないでしょうか。

匿名論客がどれだけ議論を重ねても、「で、あんた誰なの? どこの研究者なの? Pixivとどんな関係があるの?」という部分で、結論の正統性が担保されづらいんですから。

別に人工知能学会の会長じゃなくても、オタク研究で実績ある誰かが仲裁役を買って出たって良いはずなんですけどね。遠巻きにして「困るんだよねー」(←実はちょっと優越感)って言ってるだけじゃなくてね。

追記:Pixivの伊藤社長のツイッターを拝見したら、本件全く言及無しでした。もったいないなあ。ロイヤルカスタマー獲得の一大チャンスなのに。

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