まだ見ていなくて見る予定の方もいらっしゃるはずなのでネタバレを可能な限り回避しつつ感想を取り急ぎ。
【映画館での反応】
周囲には大きいお友達も沢山いらっしゃったのですが、上映が終わったらお姉さんもお兄さんも「これは泣くよね」「最高・・・・」とため息をもらしておられました。息子もひたすら「ヤバい」しか言わない子になっていました。ボキャブラリーが削られる映画のようです。
【仮面ライダー映画としての基本はどうか】
平成仮面ライダーの総集編なので、もう絶対これ出来ないよなっていう、ラーメン二郎系の全部盛りレベルです。主役ライダー20人が全員参加ですし、それぞれの一番カッコいいところをフルコンプで見せてくれます。
カッコいいところというのはアクションや決めポーズだけではなく、例えばドライブならばベルトさんの「Start! your engine!」、オーズならば「行くよ、アンク。」、グリスならば「みーたん!」など、作品の象徴みたいな音声もきっちり押さえてくれています。あれ、なんか変なの混ざった?
ベルトさんの声が聞こえた時はグッと来ましたよかなり。
【プロットはどうか】
パンフレットで役者さんたちが口を揃えて、台本を何度も読み込んで議論してやっと話が理解出来たような気がする・・・と言っておられましたが、かなり複雑です。
現行の仮面ライダー作品(ジオウ)が歴史改変+過去ライダーの能力のコレクションというプロット、つまり過去作品で言えば電王(歴史改変)とディケイド(ライダーの能力コピー)を両方やっているのですが、このプロットを最大限活かしていると思いました。
それプラス、平成仮面ライダー全員集合ものという縛り。
普通なら要求事項を取り敢えず全部満たしました(息上がってる(;´Д`)ハァハァ)というところで力尽きるはずですよね。
それを全部クリアした上で映画として強い強いメッセージ性をもたせて、プロットも緻密に組み上げてあります。素晴らしいと思います。
【ディテールは】
犬飼貴丈さん(桐生戦兎/仮面ライダービルド)がインタビューで言っておられた通り、何回見ても新たな発見がありそうな情報濃度です。
特にビルドのネタは非常に多かったし、それらがちゃんと映画の中でアクセントになっていたので、ビルドは1周見てある方が楽しめるでしょう。
【お芝居は】
ビルドチーム(犬飼貴丈、赤楚衛二、武田航平、水上剣星、高田夏帆)はさすがの安定度です。これほど鍛えられる現場も無いでしょうからね。上手い。とにかく上手い。
ジオウチームもテレビシリーズ当初よりずいぶん上手くなっています。ここから先はネタバレ回避なので書けません。
ただ、電王ファンは絶対に見るべき。
涙もろい人はハンカチではなく厚手のハンドタオル、女性はアイメイクを直せるようにしておいた方が良いんじゃないかな。
【こんな人にお勧め】
1作品でも最後まで見て思い出に残っている人ならば、きっと泣いてしまいます。
【グッとくるシーン】
ネタバレ回避でほとんど書けません。
が、ライダー映画のお約束だからこれはネタバレにならないと思いますが、最終決戦のためにライダーたちが変身し、あるいは登場して見得を切るシーンはいちいち素晴らしかったですね。電王ソードフォームの「俺、参上!」とか。
この映画を見る人のかなりの割合は、かつて変身ベルトを手に入れて腰に巻いて変身したことがあるはずなんですよ。フォーゼドライバーなのかウィザードライバーなのかゴーストドライバーなのか、そこは人それぞれでしょうけれども。
そのとき君は正義の味方だったはずだろう。
今、君は正義や平和や誰かのために戦っているか。君はまだライダーに変身することができるか。あのベルトに恥じない生き方をしているか。
ライダーたちの変身や登場のシーンにそんなメッセージ性を宿らせた脚本・演出・演技。世界でもこんなものを作れるのは東映の仮面ライダーチームだけでしょう。
そこと、最終決戦が終わった後にとある登場人物が視線を上げる瞬間。静かなシーンなのですがものすごく良かった。
【特にお勧めなのは】
電王and/orビルドのファン。
というわけで、電王ナイトに参戦するためにわざわざ地方から上京した教え子の背中を見送ってバルト9から我々は帰還したのでした。