サトクリフを読んでいてスプリンガーを思い出し

ローズマリー・サトクリフ(1920-1992)の『落日の剣』(原題はSword at Sunset, 1963)を読んでいたら、主人公アルトスの様子がおかしいことを見咎めた叔父が「妖精の虚ろな丘で一夜を過ごした男」のことを思い出すというように形容している下りがありました。4章です。これで思い出したのが、ナンシー・スプリンガー(1948-)が『白い鹿』(原題はThe White Hart, 1979)で、創世神の血を引く主人公べヴァンに「うつろの山々の下で、母の弟に育てられました」と発言させている部分。

サトクリフはブリテンとアイルランドの中世の伝承や歴史を題材にした作品群で知られますし、スプリンガーのこのシリーズ(The Book of the Isle, 1979-1983年にかけて発表された5部作)もアーサー王伝説やケルト神話の要素を流用したものなので、両者が同じようなフレーズを使うのはわかります。

また、ケルトの妖精が「丘」の中に広がる妖精の国に住んでいることになっているというのも知っています。

唯一私が今知りたいのは、この「うつろ」という訳語がemptyやhollowといった一般的な英語を移したものなのか、それとももっとケルトの土俗っぽい味がある語が対応しているのか。

無論、後者を希望するわけですが。

20分くらい検索したけどわからなかったんで、備忘録として取り敢えず書いておきます。