写真文化論3週目。また1人脱落。

今日の写真文化論。また1人ドロップアウトが出ましたが気にしても仕方無いので先に進みます。

前半は2週目の後半に議論した、写真の誕生へのマイルストーンとなった様々な事件や発見発明のマッピングのワークショップです。

山手線ゲーム(8人中留学生2人なので説明に少し苦労しましたがw)で3周くらい回して前回提出されたキーワードをリストアップした上で、

「じゃあここに並んだキーワード群、君たちだったらどう整理する?」

と質問。何人かからKJ法で整理するという案が出ました。君たち優秀やん。去年はKJ法教えるとこから始めたぜ。だがしかし、KJ法はブレストの整理には役に立ちますけども、人類社会の歴史を整理するには別のもっとオーソドックスで権威あるシステムがありますよ。わかる?

「わかりません。」

君たちの足元のことなんだけどな。(ここで実際に自分の足元を見た学生が3人。ボケてくれてありがとう)。

君たちは大学に入ろうとするとき、どうやって受験するとこを選んだの?

「理系と文系で分けて・・・」

ほほう。じゃあ理系と文系に対応する英単語を知っているか? ・・・・・知らないだろう? プロの翻訳家である俺様だって知らない。だってそんな分類は日本だけなんだから(多分)。普通は学問は人文科学、社会科学、自然科学に分ける。自然科学は更に基礎科学と応用科学に分ける。昨日ノーベル賞が出たのは応用科学の方だわかるか。

そんな説明をした上で、キーワードを「人文科学」「社会科学」「自然科学」で重複アリのラベル付けしていくワークショップを実施しました。しかし立教社学の上澄みは本当優秀ですね。例えば「鏡」とか「遠近法」なんてひっかけキーワードを「人文&応用科学」「人文&基礎科学」ってちゃんと分類できちゃいますからね。遠近法については、レイコフ&ジョンソンの「Metaphors We live by」での議論をベースに生物の知覚器官の構造と世界認識の関連を解説してあげたら、一発で何故それが哲学の問題になるのかを理解してたし。

そんなワークショップをした後、

「じゃあさ、一人の超天才が突如何の脈絡も無く発明したテクノロジーで人類社会がひっくり返ったことってあるんだろうか?」

という質問。誰も何も思いつかなかった。こうして、写真が現生人類史数万年の歴史の積み重ねの上で生まれるべくして生まれたものであることをご納得頂いたわけです。

後半はニエプスの実験からダゲレオタイプ、カロタイプ、コロジオン湿板法、アルビュメンプリント、ゼラチンシルバープリントという19世紀半ばの写真技法を説明しながら作例を順に見て解説していく時間です。

といっても、合間合間にオランダ独立戦争とか宗教社会学とか静物画とかキリスト教倫理とか、図像を見ているだけではわからないコンテクストのレクチャーを随時挟んでいったんで、結構時間かかりましたけどね。

来週と再来週は休講なので(大学が決めたやつ)、課題も思い切ってひどいやつを爆撃してやるつもりです。