こんなニュースが流れました。
「大学教育の改革を議論していた中教審は28日、学生が主体的に学ぶ仕組みを確立するため、学長を中心とした教職員のチームをつくって教育内容の改善に取り組むよう各大学に求める答申をまとめた。地域社会には学生の体験活動の機会の提供を求めたほか、企業にも学業に専念できるよう採用活動を4年生の夏休み以降に遅らせたりすることを要請した。
答申は、変化の激しいグローバル社会では答えのない問題に取り組むための思考力や教養が必要と指摘。教員が一方的に知識を伝える講義形式から、討論やインターンシップ(就業体験)などを通じて学生が自ら学びに向かう形式の授業を中心にするよう求めた。
これにより、授業を含めて1日4.6時間にとどまっている学生の勉強時間の大幅増を目指すとした。答申を受け、文部科学省は学生の主体的な学びを後押しする大学への補助金配分を優遇する方針だ。」
これで日本の大学はどうなるのか。どうもならんのじゃないかという気もします。教育内容の改善も、ディスカッションやインターンシップの重視も、中教審に言われたからやるとか補助金で誘導されるからやるとかじゃ話にならんと思います。
いくらカリキュラムをいじったりディスカッション講義やインターンシッププログラムを増やしても、教える側の技量やミッションへのコミットメントが薄ければ形だけで終わるでしょうしね。組織をいじって任期付き特任教員呼んでインターンとキャリア教育担当させて(形だけ出来たらお払い箱にして)じゃダメなのよ、文学部さん。
インターンシッププログラムについては去年、TNTエクスプレスと三菱商事ロジスティクスのプログラムを企画・運営全部やった経験から言って、パートナー企業と教
員がどれだけ密接なコミュニケーションを取れるかが品質を左右すると思います。最後は担当者同士の気持ち、信頼関係、ミッションの共有が大事なんで。送り出す側の情熱が伝わって、初めて受け入れ側のハートに火が着くんですよ。
内容についても企業丸投げじゃダメで、送り出す大学側の担当者が、その学部学科のカリキュラムの概要を把握した上で、インターンシッププログラムの内容と有機的に連結する講義を大学側でやっておかないと、インターンシップから戻ってきた学生は、インターンシップでの経験と大学で学ぶ学問との関連性を見つけづらいでしょう。
社会学部でやるなら、企業での経験をどう社会学の学習に生かすか、意味づけるかを、社会学者がきちんとフォローアップで教えなければいけないし、社会学の視線をもってインターン先に行く準備もしておかなければならない。物流企業なら物流の社会学的な意味を徹底的に考えさせることも私はやりました。 その準備としてSCMやロジスティクスの本も何冊も読んだし、物流センターの見学にも行ったし、パートナー企業の担当者の方々とは人材育成についての考え方の摺り合わせを徹底的にやって、使命感を共有していただきました。新卒の就職活動をスムーズに泳ぎきる器用な学生を育てるのではなく、10年後20年後に組織の屋台骨を支える人材を育てたい。その為の種まきとして、働くことの尊さ、社会貢献の意識、成長への意欲を知ってもらいたい。そこが私と先方の共通の価値観であり目的でした。そういうレベルでやらないなら、現状の大学斡旋インターンと変わらないです。
それにしてもディスカッション、インターンシップ、地域連携と並ぶと痛快ですね。全部、俺のやってきたことじゃんか(笑)