レジデンシープログラムとNovelJam

アメリカの有力文芸誌のTin Houseが来年1-2月のレジデンシー(執筆合宿のようなもの。滞在費は向こう持ち・外国からのアプライ可)の参加者を募集していて、SF作家向けコースというのもあるんだけど、どのコースも「執筆契約を出版社と交わしていることが条件」で、日本の作家はこれで大半失格という悲しさ(笑)

レジデンシープログラムは作家だけでなくてパフォーミングアーツやビジュアルアーツ、キュレーターなど色々な分野で世界各地で存在しているんだけど、評価の高いプログラムには質の高いキュレトリアルが伴っている。

つまり滞在制作中に現地のキュレーターのアドバイスを受けられる。これが単なる合宿との違い。

日本の画家や作家が「海外留学」や「海外放浪」で「武者修行」しているのは明治維新以来の伝統なのだろうけれど、現代では世界的にはクリエイターのポストグラデュエートの研鑽はレジデンシーを幾つか経験して、という方が普通。もちろん有名レジデンシーは審査が厳しく、そこで選別がかかる。有名レジデンシーをハシゴ出来るような作家はアーティストとしての一本立ちや国際的な活躍に極めて近い位置にいる。

(余談。日本国内で「現代アーティスト」として持て囃されている人のほとんどはこうしたプロセスを踏まずに「変なものを作ってバズって内資のギャラリストに拾われる」という形で「現代アーティスト」になっているので、外国に出ていく力が無い)

日本の小説創作だと今週末開催のNovelJamは編集者やデザイナーが作家と共同制作するという点でレジデンシーに似てはいるが、共通のお題とか販売競争とか順位付けのような要素は正直、不要なのではないかと個人的には思っている。編集者やデザイナーも参加するレジデンシープログラムで良いのではないかと。