ここ一ヶ月ちょっと、暇を見つけてはロードレーサーで多摩川を走っていたのですが、それにはいくつかの理由がありました。そのうちの一つは、実際そのことを考えるだけでも気が重くなるのですが、ある里山が消えてしまうまでに、そこを存分に自転車で走り回って、その風景を憶えておきたいというものです。だからその為の体力作り。
場所は京王相模原線、読売ランド駅と稲城駅の間の南側。あるいは「よみうりランド」と駒澤女子大学の間全てと言い換えても良いでしょう。ここにおよそ90ha(東京ドーム14個分だそうです)という、おどろくほどに大規模な里山があります。「南山」と呼ばれています。
ここを全て切り開いて宅地にして売り払おうという計画、「南山東部土地区画整理事業」というのですが、これが様々な手続きを全て終え、おそらく来年度には着工されるという所に来ているのです。
それでは、現在の南山とはどんな所なのでしょうか?
南山へのアプローチはおおよそ3箇所です。京王よみうりランド駅の脇、妙覚寺というお寺の横から入り込むルート、稲城駅の北、おそらくは鎌倉街道の脇街道だったと思われる古道から入るルート、そして、稲城駅から少し線路沿いに若葉台方面へ行き、京王線の線路をくぐってさらに西側から大回りで入っていくルート。
いざ南山に入り込むと、そこはまさに別世界です。森の中にも所々に畑があり、そしてかつては入会地として手入れされていたであろう雑木林。
こちらのウェブサイトには、四季を通じた南山の風景が紹介されていますので、是非ご覧になって下さい。
こちらのウェブログもどうぞ。
ここも。
さらにここ。
ここは新宿から電車で25分で来られるという、まさに知る人ぞ知る里山で、実はMTBライダーも以前からわんさか走り回っているのです。
しかし・・・・・・・・残念ながら、お仕舞いです。来年にはこの里山は消滅してしまいます。南山の開発中止を求める署名は1万人分を越えたらしいですが。今から南山を救えるのはビル・ゲイツかロマン・アブラモビッチくらいのもんでしょうな。
それで、この里山を潰してどうなるのか? よくわかりません。当初の計画では、ほとんどの森をぶっ潰してどこにでもある坂勝ちな宅地を造って売り払うというものだったようですが、南山保全を求める市民団体が開発組合と何度か会合を持つ中で、里山そのものをもっと多目に残して、里山が宅地の中にあるということそのものを付加価値とする案も浮上してきているようです。ですが、最終的にどんなプランでやるのかは、外部には伝わって来ません。
里山を宅地の中に残して付加価値とする。これは上手くやれば、決して無理筋なビジネスプランではないと私は思います。私自身、ガキの頃は散々に里山に入り込んで遊び倒した口でした。学校から帰ったら自転車に飛び乗って近所の里山に分け入り、日が落ちるまで遊ぶ。そんな毎日ね。当時ファミコンは出たか出なかったかくらいだったと思うのですが、うちにはそんなものは無かったですし、そもそも山遊びが楽しくてしょうがなかった。
今は立派なトーキョー・メトロポリタン・ビジネスガイにおなりの皆さんも、思い返せば里山の山猿だったという方、少なくないでしょう? たしかにプレステも面白いですけど、里山も同じくらいには面白い。それはわかるよね? 知っているよね? ・・・・・そういう皆さんに、里山付き宅地をお買いあげいただけないものか?
流行っているんだか流行っていないんだかわかりませんが、LOHAS、Lifestyles of Health and Sustainabilityというあのビジネスコンセプトも、それで里山がいくらかでも守れるんなら悪くない。里山付き宅地はどう考えてもLOHASですやん。しかも駅から歩いて10分で、京王新宿駅まで自宅の玄関から30分。そんな所に里山付き宅地が持てるなんて、これはたまらんですよ。
さて、私は今日、南山を走る為のシクロクロスバイクを注文しました。月末には組み上がって手元に来るみたいです。どれだけ時間が残っているかわからないですが、最後の最後まで南山を走りますよ、これで。それで、残念ながら南山を丸ごと守ることは私には全然出来ませんでしたが、この悔しさは絶対に忘れません。この悔しさから出発して、何か良いものを創り出して行きたいと思ってます。
ともかくね、お手元にMTBがあるんだったら、無くなるまでに皆さま是非、南山に走りに来て下さい。最後の南山をね。