エンジニアリングじゃなくて魔法だろそれ

いくら野暮と言われようが、メーカーフェア東京2018のプログラムでダントツに寂れてたのが株式会社ヴィリングの「こどもエンジニアもんだいかいけつアイデアコンテスト」だったのは明記しておきたい。

入賞作が拡大コピーでボードに貼ってあるだけで、あとはクリアファイルにノミネート作とやらが入れられて机の上に置かれていた。そんだけ。

 

で、入賞作よりもノミネート作というファイルに入っていた方がまともなアイデアが多くて、選んだ人たちのセンスがさっぱり理解出来なかった。ブースの手抜き加減を見たら、まあその程度のもんだったのねと思ったけど。
ちなみに息子が出したのは、屋外で食べられることも多いコンビニ弁当の容器のばらんが風で飛んでマイクロプラスチックごみにならないように、生産ラインで可倒式のばらんを容器本体に溶着しておくというアイデアだったんですが。
実際に既存の製造ラインに安価に追加出来るかとか、製品出荷時にスタッキング出来るかというところまで考えてたのがバカバカしくなった

「あんなので良いなら俺もいくらでも考えられたのにな。」
だって。一応、考えて絵描いて文章書くのに10時間以上使った上に郵送料も払ったんだからね。
主催者のツイートを見ると「知識が増えた大人では発想できない素晴らしいアイデア」と持ち上げてるんだが、ドラえもんのひみつ道具並みに科学を無視した幼稚なアイデアばかり。「空想科学読本」とか「子供の科学」とかScratchで科学的思考を身に着けた子供から見れば、何だこれ意味不明、です。子供をバカにするなよ。
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メーカーフェアって実際に作る人たちのイベントで、科学が絶対的ベースにある。たしかに無茶なアイデアは多いんだよメーカーフェア。こういうのとか

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リコーダーでパイプオルガン(笑)

でも、メーカーフェアに出てくる人たちはみんな、その無茶を何とか手に入る材料とこの世の科学法則の範囲内で実現している。だから面白いし、だから素晴らしい。人がものをつくるという営みのピュアでコアな部分が見える。
だからメーカーフェアに行くと元気になれる。こんなわけわからないことにこれだけ頑張ってる人たちがおるんじゃないか、この世は捨てたもんじゃないぜって。

ところが「こどもエンジニア」はファンタジーの世界。エンジニアリングじゃないよ全く。実現部分の仕組みが魔法OKなんだもん。アホか。
しかも「こどもエンジニア以下省略」の真ん前にあったのが、倉本大資さん・石原淳也さんという現在の日本のキッズプログラミングシーンを牽引するお二人が運営する「子どもプログラミング喫茶」。もちろん大盛況。
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色々な意味で、レベルの違いが凄まじい。どっちが上かまでは敢えて書かずにおく。

「こどもエンジニア」来年もやりたいそうだが、もしも応募して入賞したければ、とにかく科学的に考えてはダメ。自然科学的にも社会科学的にも考えたらだめ。
普通、問題解決というと現実にある社会問題をエンジニアリングやビジネスで解決するための発想力が問われるけど、ここはその逆。子供が狭い視野で考えた個人的不満を魔法で解決する妄想を、出来るだけ子供っぽい絵と文章で出したら喜ばれるよ。というかそもそもメーカーフェアではなくデザインフェスタでやるべきだったね。東館でやってたよ。
GOOD LUCK!