碧志摩メグ論争の個人的中間まとめ

志摩市が公認という形でタイアップしている地元企業(四日市市)の「萌えキャラ」、碧志摩メグについて、かなり極端な思想をもとにした反対運動が発生しています。

具体的には「17歳という設定なのに胸が強調されているし、太ももが見えているので、女性蔑視表現である」というもの。

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(これ。水着の上に白装束を着ているという設定らしいですが、水着の存在を脳内消去したらたしかにセクシー)

極端と私が考えるのは、運動の発起人である地元のアラフォー女性が志摩市に対して送りつけた意見書「この志摩の汚点ともいえる碧志摩メグの存在の痕跡を、インターネット上も含め、後世に残らないように完全に抹殺することを要求する」という、ナチス並みの表現禁圧思想が含まれているからです。反社会的というよりは反文明的な思想です。

さて、これに便乗する形でアート集団を自称する正体不明の政治団体「明日少女隊」がウェブ署名を開始して、なかなかの広まりを見せました。東大社会学部の北田暁大なども賛同しています。

私のTLにも2件ほど賛成署名しましたというのが流れて来たので、状況を確認した結果、これは稲城の南山紛争と同じで、極端な思想の持ち主が地元で騒ぎ、それに便乗して外部から左翼活動家が流入して荒らす構図なのではないかと感じました。

それで継続的に論争を追っているのですが、昨晩、志摩市に取材された方が、以下の情報をアップ

「碧志摩メグの作成及び運営の予算計上はない。全てMaribon事業部が費用を負担している状態。」

当初より私は、このキャラの運営に志摩市の税金支出は無いと推測していましたが、それを裏付ける情報です。

こんなキャラに税金を使うなんてけしからんという理由で公認に反対している人も数多く見かけましたが、これで反対する理由は無くなったはずですよね?

以下、私の立場です。

まず、民間企業が萌えキャラを作成して自治体とタイアップで運用することが女性差別なのかどうか。

そういう解釈を可能とするフェミニズム理論はありますが、我々の社会で広く合意共有された考え方ではありません。社会学という分野の中でさえ、「そういう考え方も可能だね」程度の理論の強度です。ですから、自治体とのタイアップの是非はその自治体の政治プロセス(議会と選挙)の中で判断されるべきであり、フェミニズム理論が志摩市で広く共感を得て選挙に反映されれば、公認解除も良いんじゃないのと思います。碧志摩メグの公認を批判する研究者は、かようなフェミニズム理論が志摩市民に広く受け入れられるように懇切丁寧な説明を公開したり、現地で勉強会など開くと効果的かと思います。仲間内でしか理解も共感もされないような(社会学者である私でさえ、極論過ぎて妥当性に疑問を感じる)理論を振りかざして一方的勝利宣言をしていても、社会的には大したインパクトがありません。自分の専門をわかりやすく幅広い層に傾聴してもらえる言葉で語らないから、人社系不要論なんてものが出てくるんだよ。

碧志摩メグの表現がセクシー過ぎるのかどうか。フィクション作品かつ2次元イラストでの表現なので、デザイナーによるデフォルメは一般的であるし、ポルノイラスト(いわゆるエロゲーやエロ漫画)と比較すると、極めて穏健な表現と思います。これがセクシー過ぎると主張する自由はありますが、他人の表現の自由をそれで侵すことは許されない。どうしてもというなら、デザイナーとの話し合いを申し入れるべきでしょう。

碧志摩メグが現実の海女を侮辱する表現なのかどうか。私はそうは思いませんが、そう思う人も居ることは知っています。明確な基準はありません。結局のところこれはもう裁判で決めるしか無いので、是非とも裁判で勝負されたらと思います。個人的には碧志摩メグ側が最高裁まで3連勝の結果を予想します。