ライアン・マッギンレー「BODY LOUD」展に行って来たよ

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行って参りました。
ライアン・マッギンレーの個展。

21世紀デビューのアート系のフォトグラファーの中では、多分一番の出世頭の人だと思いますよ。オリジナルプリントは都写美で開催された展覧会に数点出ていたのを見たことがあります。

たしか2010年の冬季オリンピックの選手を撮ったシリーズです。それが従来のスポーツフォトとは全く違う発想で撮られていて、いやあさすが有名になるだけのことはあるわあと感心したものです。

ですが、あれは彼の作品の中では異色のシリーズなんだと思います。だって今回の個展には1枚もオリンピックシリーズ選ばれてませんでしたからな。

何が違うのか。おそらく、被写体の属性です。

彼はもともとグリニッジビレッジのヒップホップ系コミュニティから出てきた人で、初期の作品群はナン・ゴールディンみたいな、NYCのダメ人間界の若者たちが被写体でした。それらをまとめた写真集"The Kids Are Alright"が注目されて、後はもう一気にスターダムです。

ただ、彼の作品制作の基本は一環していて、まず、モデルは素人。素人を裸にして、なんかとんでもないシチュエーション(屋外が多いです)でステージドフォトを撮る。すると、いかにも不健康で鍛えて無さそうな猫背の肉体が、謎のシチュエーションと共鳴して、得も言われぬ独特のライアン風味を醸し出すと。

だから、鍛え抜かれたトップアスリートの肉体を競技の場で撮っているオリンピックシリーズの方が、脇スジってことになるですよ。

さて今回の個展ですが、Kids are alrightから最近のものまで幅広いとこから選んで持ってきてます。ただし作品数は少なめ。出来ればもうちょっと大きなとこ、都写美か原か国立新かでやってもらいたかったのですが、それはもうちょっとキャリアが進んでからのお楽しみでしょうか。個々の作品はさすがに見応えありましたよ。

彼の作品はヌードばっかなのに、上に述べたような方法論のおかげで昔から全然エロくないのですが、今回、雪山に素人を連れて行って裸にひん剥いて色々撮ったシリーズが、絵ヅラはエロくないですけど隠喩的に見るとあからさまにセクシャルで、おお、そう来たか! と思いました。

1枚欲しい。高くて買えませんけど(セカンダリ市場で50-300万円くらい)。