魔法少女まどか☆マギカの抽象表現に能楽を感じること

名前だけ聞いたことがあったアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のテレビシリーズを見終わりました。
なんで有名なのか知りたかったんですが、ありがとうございました。よくわかりました。凄かった。
簡単に言うと日本伝統の魔法少女もののフォーマットの上で「エヴァンゲリオン」を展開した作品です。何も知らない中2の子たちがいきなり世界背負わされて酷い目に遭わされて最後に世界がぶっ飛ぶお話。
敵のモンスターが20世紀の抽象絵画の技法をベースに表現されているとこも、エヴァンゲリオンの影響下でしょうね。
それから今日気づいたんですが、背景を極端に抽象化して表現する技法(ほむらの自宅、中学校の校舎内)。あれの萌芽はエヴァンゲリオンのTVシリーズ後半からあったと思いますけれども(シンジくんとカオルくんの入浴シーン)、何であの技法が成立するのか。あれって古くは能楽の「影向の松」が、今は舞台劇で数多く使われている、三次元の劇空間の抽象表現を、二次元に持ち込んでるわけですね。
見方次第で様々なものに見えてくる抽象図形を劇空間の背景に配置して、そこで芝居を展開させる。やってることの基本は能楽と同じではあります。ですが、大衆向けアニメ作品でそれを思い切って使うこの思い切り。素晴らしい。
ディズニーには絶対やれないでしょう。売上にリミッタかかるから。
日本のアニメってホント凄いですね。ブロックバスターとして満を持して製作されるもの以外の脇道から、突如こういうやたらなテンションで作られた革新的な作品が出て来るのは異常。億単位の値段で落札されてる現代アートのトップティアの作家の代表作と較べても、表現としての圧力や密度や狂気は明らかに上だもんな。何でそんなとこでそんな凄いもん作ってるのって。