1996年に開催されたアトランタ五輪で水泳4種目に出場した千葉すず選手が、大会後にインタビューで「メダルメダルって、(日本の人たちは)メダルキチガイですよ・・・」と語って議論になりました。
たしかにメダルというアイテムの獲得競争に単純化して見れば、五輪というイベントは非常に理解しやすいでしょう。しかし、その弊害がこういう形で出てくるわけです。
具体的に何の話かは書くまでも無いでしょう。
さて、以下の文言を見て下さい。
"I just felt my heart break! Mao is a great champion and will be stronger than ever come tomorrow."
"Mao having a tough skate, such an awesome skater.Hoping she can come back in the FS. Beautiful skater. "
"So heartbroken for Mao Asada. Her program was my personal favorite, if only skated like she's capable of. So sad"
"Mao Asada – Heartbreaking:("
"Mao Asada: 3axel fall, 3flip, 2loop She is so light on her feet. Too bad about the mistakes, I love this program. "
"What a disappointing skate and outcome for Mao Asada. She is in 16th place after falling on the 3axel with really no shot of medaling. My mantra right now! “I am always doing that which I cannot do, in order that I may learn how to do it. -Pablo Picasso”"
これ、ツイッターから拾って来た筋金入りのフィギュアスケートファンたちの言葉です。お名前は、上から順に、
・ジェレミー・アボット(全米選手権4勝、GPファイナル1勝)
・エルヴィス・ストイコ(世界選手権3勝、オリンピック銀2回)
・クリスティ・ヤマグチ(世界選手権2勝、オリンピック金)
・ミシェル・クワン(世界選手権5勝、オリンピック銀、銅)
・ジョアニー・ロシェット(世界選手権準優勝、オリンピック銅)。
・サーシャ・コーエン(世界選手権準優勝2回、GPファイナル1勝、オリンピック銀)
6人で世界選手権10勝、オリンピックのメダル7個をお持ちの、間違い無くフィギュアスケート史に一番でっかいフォントで名前が書き込まれている方々が、これだけ熱い気持ちで彼女を応援しておられるということですね。
では何故、かくも偉大なスケーターたちが彼女を応援しているのか? 「日本に金メダルを持ち帰ってくれそう」だから? 「キム・ヨナが嫌い」だから?
No, no, no. 違いますね。彼女もまた偉大なスケーターの一人であることを、彼女のこれまでの圧倒的な戦績が証明しているからです。だからこそ、オリンピックという舞台で、これまでより更に素晴らしい演技を見たかったからです。それがフィギュアスケートファンというものです。
アイテムゲット競争や隣国への憎悪を動機としたフィギュアスケート観戦は貧しい経験しかもたらさないということに、今度という今度こそ気づいていただければと思います。