サッカーワールドカップ2018ロシア大会グループリーグH組における奇妙な戦術の評価には気をつけたい

表題の件、日本国内では「普通」「何も悪くない」という声が圧倒的な一方です(あれを批判したら仕事無くなるか、SNS炎上するか、その両方かでしょう。口が裂けても日本のサッカー業界人には批判出来ません。それに「大義のために敢えて汚れ役を引き受ける中間管理職」なんて日本男児の本懐、それだけで一升瓶3本はいけるやつ)。

一方、BBCの評論家マーク・ロウレンソンやアイルランド代表監督マーティン・オニール、ASのスポーツ部門ディレクターのアルフレッド・レラーノが厳しく批判しているという事実もあります。元イングランド代表のレオン・オズマンや元韓国代表のアン・ジョンファンも批判的です。セネガルサッカー連盟は公式にFIFAにフェアプレールールの見直しを申し入れました

FIFAはルール上問題無いという見解を示したので、ルール上問題無いことは確定。
では「普通」かどうか。
「普通」の戦術であればこんな批判はそもそも発生しないはずです。だから「普通じゃない」ことは客観的に見れば認めざるを得ない。
あとは、好きか嫌いか。自分だったらやるか、やらないか。
それはその人それぞれなので、自由です。
整理すると
[ルール上は?]
問題無い。いつでも誰でもやって良い。
[世界のサッカーファンにとって、当たり前で見慣れた戦術だったのか?]
そうとまでは言い切れない。ガリー・リネカーのツイートに対する返信ではまさに賛否両論ですが、否の方が少々多めなようです。
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[好きか、嫌いか?]
それはその人次第。私は好きじゃないです。
問題は、あれを「普通」「当たり前」ということに無理やりにしようとしてしまうその衝動です。ルール上認められているということをもって「当たり前」と言うことは、ちょっと無理があります。
例えば公共交通機関の優先席に、体の不自由な人を差し置いて五体満足健康バリバリな人が座ることは、ルール上認められています。ですが、マナーの観点では賛否両論ある話です。実はその五体満足健康バリバリマンがこの後に大変大きな商談を控えていて、それが通れば日本国全体に利益がある話なので、少しでも体力を温存するために敢えて座らせていただいた、としてもね。
フェアプレールールでの勝ち抜けは今回初めての導入だったので、何が適正なマナーなのか相場観が成立していないということも確かです。今回日本はそのルールにおける「極取り」(ちょっと懐かしい言葉)を実践して、マナー面での賛否両論が起こった。負けているのに攻めない、他会場の試合結果の片方に全部掛け金を突っ込んであとは神の御加護を祈るという「極取り」です。
そこまでしてでもGL突破したかったんだから、という言い分にも十分な配慮は必要ですが、いくらGL突破したいとはいえ、他力本願にもほどがあるだろう、それはフィジカルなスポーツという意味でのサッカーなのかという声にも配慮すべきで、御意見無用で押し通してしまうのは、国際交流とか相互理解の促進という、スポーツの世界選手権の持つ機能の否定になるんじゃないでしょうか。それはもったいないと思います。