FABlabなんていらない

昨日は午前に世田谷美術館でGKデザイン展、午後は稲田公園の水路で水遊びという、息子は大満足、父親はヘトヘトという一日でした。

ほんで、今回初めて利用した稲田公園水路(稲田公園自体は2歳時からのお気に入りスポット)で、いきなり息子の創作スイッチが入ってエンタープライズ号のような船のオモチャを作り始めたのを見て考えたんですがね。

今、リゾートホテルって親子連れを呼び込めというかけ声で、子供向けのプログラムを色々と用意してるんです。その中でまあまあ大きな割合を占めるのがクラフト体験もの。バードコールなんかの簡単な木工ものもあれば、トンボ玉とか陶芸なんてのもあります。

でもその、既存のリゾートホテルのキッズクラフトメニューって、本質的にキットものなんすよ。出来合いの一本道コースがあるだけで、意味不明なものや新しいものが生まれる余地は原理的にありません。一方、今日息子見ていて解ったんですが、普段と違う環境に連れて行くと、弊社のデザイナーの場合は即座にその環境に適した、あるいはその環境を利用するような変なものを思いついて、作ってみるんですわ。

つことは、これは商売の話ですけども、リゾートホテルのキッズクラフトメニューにはまだまだ未開拓の分野があるってことです。何だかわからないもの、意味不明なものを自由に作ってフィールドで試して、改良して、また試して・・・というPDCAプロセスで遊べるようなプログラムね。私も息子もお仕着せもんが大嫌いで、良いから自由にやらせろやというスピリットが強烈なんで、既存のリゾートのメニューはイマイチだと思ってたんですが、要はこういうことだったんです。

というわけで早速次の家族旅行では、普段家で使ってる工具類(電動ドリル、安全ゴーグル、ノコギリ、カッター、接着剤、サンドペーパー、アクリル塗料などなど)と素材(牛乳パック、ペットボトル、段ボールなどなど)をトランクに積んで、旅先でのモバイル創作工房遊びに挑戦してみたいと思います。

やれ3Dプリンタだレーザーカッターだなんて目新しいオモチャを使うために作られたFABlabよりも、環境を変え、その環境と動的な相互作用を行いながら今まで見たことも聞いたこともない何かを、あるもので適当に作ってみる方が、よほどよほどクリエイティブだと思うんすよね。かつて地球の半分くらいの面積の大海原を航海カヌーで渡っていったリモート・オセアニアの先住民たちが使った道具や素材って、小さな地元の島で手に入るものに限られていたし、その不自由さ、そして目の前にある固有の自然環境が創造力の源だったと思うのです。