デザイン史の知識の重要性に今更気づいたぞ

不動産とか広告とか出版とか百貨店とか行きたいって学生は少なくないのですが、建築様式史やデザイン史の基礎知識を持っている学生はとても少ないですね。デザインが好き、という子でも、系統立てた知識としてではなく雑誌やウェブを沢山眺めていますよというレベル。もっと早く気づくべきだった。

雑貨屋の店頭にある商品ひとつ取っても、そのデザインは色々な様式の組み合わせと発展、音楽学で言う主題労作(thematische Arbeit)で成立しています。店舗の内装もそう。それらの構成要素を見分けられるかどうかは、就職した後の仕事の質に確実に関わってくるはず。これはモダニズム建築だね、とか、これはイタリアンゴシック風のモチーフを色彩を変えて使っているね、ということが分かるだけでも、随分違うでしょう。それに、アーツ&クラフツやアール・ヌーヴォー/ウィーン分離派/カタルニア・モデルニスモなどの発想と、バウハウス以降の発想の根本的な違いも、スローライフとかロハスとかのキーワードが消費の世界で注目されている今、とても大事なポイントだと思うのです。

大学1年や2年のうちにどんどん社会人と交流させて自分の志向を見つめさせ、それをフィードバックする形で履修の組み方もコンサルティングしてやれればと思いますが、さすがにそんな仕事は正規雇用の教職員が仕組みを作って、その中でやるべきでしょうね。もちろん自分のゼミ生にはたまにアドバイスしてますが・・・。