ピンチって素敵。

 昨日、知り合いの都市設計事務所に顔を出したら、インターンで勉強に行っている二人の教え子が青い顔をしていました。

「先生、やばいです。領収証間に合いません!」

 何事かと思って詳しく事情を聞いたら、以下のような話でした。

・ゼミで最後に作るフリーペーパーの印刷所入稿。のんびり構えていたら事務の領収提出期限前日になった。
・この時点で、事務が要求している書類(領収証か納品書)が間に合わないことに気づいた!

 早速事務に電話して確認してみると、やはり振り込み明細ではダメで領収証でないと財務でハネられちゃうとのこと。宛先と品目が出てないと断固書類通さないぞってところですからねえ。

「じゃあ電車で行けるとこで前払いで金払って、ともかく領収証作ってもらえ。そしたらその足で事務に駆け込め!」
「でも、中綴じ印刷製本までやってくれるところが見つからないです(涙)」
「んなことあるわけネーダロ。探せ。お前らなんの為にアイフォン持ってるんだ!」
「わかりましたっ!」

(30分経過)

「先生、予算の倍以上の見積もりなんですが」
「予算上限伝えて、紙質や部数変更で収められないか聞いてみろ」

 ここで私は息子を迎えに行く時間になったんで「後はまかせた」と立ち去ったのですが、帰宅してからちゃちゃっと検索してみたら、奴らが定期券で降りられる駅にちゃんと同人誌関係に力入れてる印刷屋があるじゃないですか。3分で見つけられたんですけど。

 早速電話してこちらの仕様を伝えて仮見積もりとったら、ほぼ事前確保の予算内。学生にメールで情報流してお終い。

 こういうのが醍醐味ですね。合宿も写真展も学生に運営任せたから、だいたい土壇場になって大ピンチが来て学生半泣き。でもいじわるな私は時間ギリギリまで学生に対策やらせるだけ。助言はしますけどね。いよいよこれまでかという所でさらりと事態を収拾して見せる。

 ピンチをギリギリまで放置して経過観察するのは、最初から手を出してレスキューしちゃったらせっかくの極上の教育機会がもったいないからです。ピンチを切り抜ける経験ほど人を成長させるものはありませんものね。ついでにピンチを収拾して見せることで「大人ってさすがだな。自分もはやく成長したいな」と思わせるんだなこれが(笑)

 最後のフリペ班にまでピンチが来るとは正直思っていなかったので、この美味しすぎる展開に内心ほくそ笑んでいた私でした。俺ってやっぱり悪徳な奴。