ウェブマーケティングをしない小説家たち

過去に日本ファンタジーノベル大賞で入賞した作家たちのその後を調べると、驚くほどにウェブマーケティングに消極的であることがわかった。

小野不由美とか恩田陸とか鈴木光司みたいな、オウンドメディア・マーケティング不要な超売れっ子はともかくとして、古谷田奈月や西條奈加といった中堅クラスでもウェブでは一切情報発信していないという人がゴロゴロいる。

ツイッターだけやっているという人も多い。フォロワーは驚くなかれ500前後というのが普通。

この賞はたまたまサンプリングのための母集団として使ったが、他の作家を見ても本当に驚くほどウェブマーケティングが弱いのだ。有名作家で2000前後のフォロワーのツイッターを運営していたら、最も積極的なクラスと言えるレベル。

ビジネスとして安定的な売上を作っていこうと思ったらまずはそこから、だと思うのだが、これはどういうことなのだろうか。

ちなみに酒見賢一は何もやっていない人で、10年くらい前から本も書かなくなっているので、今やどこで何をしているのかもわからない。たぶん過去作の印税で食うには困らないのであろうが・・・・。

一方の森博嗣先輩である。

SNSは運営していないが、毎日長文ブログをアップしている。

あれだけバカ売れしている上にこの情報発信。しかも森博嗣先輩は作家業に参入する際にもきっちりマーケティングをして、生産計画を立てていた。勝つべくして勝っている人だと思う。

久美沙織もコバルト文庫で売れっ子になっていくプロセスでは、ファンレターに全部返事を書き、ファンを地域別にファイリングして把握し、サイン会などがあるとその地域にいるファンレターをくれたファンの名前と話題を事前に予習して叩き込んで行ったという。

だから、集英社以外で書いた時に、編集部にファンレターがドカッと届くから、久美沙織は売る力がある人だと物理的に編集部にわかるようになっていたそうな。

『鉄塔武蔵野線』の銀林みのるのように、1本だけ小説を書いて出してあとは本名に戻って行方をくらますということがやりたいのならともかく、プロ作家として生計を立てたいという人たちが、プロとしてのスタートラインにともかく立てた段階でしかないのに、オウンドメディア・マーケティングやソーシャルメディア・マーケティングを何にもやらないのは、不思議である。

何でですかね。