昨日、今日と3巻のゲラに赤を入れてはO内の家にFAXで送信するという作業をやっていました。というかゲラが届いていないのに校正の〆切を設定するのは止めてくださいよ、○○○○○さん(涙)。隊長の時代のフランドルからマドリッドみたいに中30日かかるなんてこたあありませんが、名古屋と東京の間を文書を行き来させるには、往復だけで4日かかるんすから。
そんなわけで、妻が帰宅した後は仕事をしないという自己規制を昨日は解除。23時過ぎまでゲラのチェックしてました。そんで朝7時にはO内に送稿。6章まで終わらせました。それで感じたのですが、やはり5章、6章は凄いです。これまでの「アラトリステ」シリーズの中でも別格のオーラを放っている章だと思います。凄惨なんだけど、どこか静謐な雰囲気もある。そしてとても哀しい章でもある。巻を重ねるごとに切れ味が増していく旦那の筆ですが、これが4巻になると、今の所はまた1巻のノリに戻って痛快剣客活劇なんですねえ。旦那、芸風の変化の規則性が読めません。
ところで皆様、ジョージ・フレデリック・ハンデルって人、知ってますか? 知らない? 原語表記はこうなります。
George Frideric Handel
わかりますか? この方、イングランド人なんですが、生まれはドイツです。ドイツ人だったときの名前はこう書きます。
Georg Friedrich Händel
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルと読む。作曲家です。代表作はオラトリオ「メサイア」。あるいは「水上の音楽」。オペラ「クセルクセス」。そうです、あのヘンデルです。
ハンデル氏は25歳の時にハノーヴァー選帝公の宮廷に楽長として迎えられたのですが、この主人の奥様が実はイングランドとスコットランドの女王様だったんですよ。アン女王。で、アン女王亡き後、ご主人様がそれらの王位を引き継いだ。ジョージ1世です。ハノーヴァー朝(現在のウィンザー朝の元の名前)の開祖の人。
で、そのご主人にくっついてイングランドの宮廷楽長になり、そのままイングランド国籍を取得して名前も変えた。綴り方を変えた。ドイツ人やドイツ系音楽美学の強い日本の音楽学・音楽教育学界では「ヘンデルはドイツ人」ということになっているけれど、でも後半生は紛れもなくイギリス人ジョージ・フレデリック・ハンデル氏だった。
このトラップ、私も3巻で踏みました。ハンデル氏じゃありません。謎のイタリヤ人フリオ・マッツァリーノ。せっかく旦那がヒントをつけておいてくれたのに、翻訳作業中は怪人マッツァリーノが後シテで誰になったか気づかなかった私です。間に合えば注にしておきますけど、間に合わなかったら・・・・・100人中99人は気づかないで流しちゃうだろうな。
え? マッツァリーノの後シテが誰かって? 別の名前で世界史の教科書に出てますよ。偽装履修でなければ「絶対王政の成立」って章で必ず憶えさせられる人ね。正解はコメント欄に誰かが書いてくれるでしょう↓。