目次
- いまさらアンディ・ウォーホルで揉めるんですか
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- 現代アート海外おすすめ公募 2022 Nov – 2023 Jan
こちらをお読みの皆さんならもうご存知のはずですが、鳥取県立美術館がウォーホルのブリロボックスとキャンベルスープ缶を買ったら炎上したという騒ぎがあります。
「県民からは「どこが美しいのか分からない」「5個も必要?」と疑問や批判の声。」
現代アートは見た目の美を追求しない、という大前提。佐々木健一の新書読めば書いてありますけど、まあ読まないですよね普通の人は。あれは名著なんですが。
一方の鳥取県美術館側はこういう見解
「ウォーホル作品を収集する理由について、鳥取県は、このポップカルチャーを美術館の柱のひとつにするためだと説明している。
鳥取県にはこれまで県立の美術館がなく「全国最後の県立美術館」とも言われる中、最後発の公立美術館が独自色を出すためにも、ポップアートの旗手のウォーホル作品を目玉にしようというのだ。」
ポップカルチャー?
これNHKの記者の勘違いなのかほんとうにそうなのか。
ポップアートという場合、1950年代半ばのイギリスで始まって、1960年代のアメリカで流行した現代アートの潮流です。
リチャード・ハミルトンのこれが1956年
ブリロボックスは1964年。
58年前ですね。
美術史で58年というと、たとえばボッティチェリが1444か45年生まれで、その58年後に生まれたのはパルミジャニーノ。
初期ルネサンスのボッティチェリと、マニエリスムのパルミジャニーノね。
つーか、音楽で考えろよ。1964年ってビートルズが4枚目のアルバムを出した頃ですよ。レッド・ツェッペリンすらまだ結成されてない。
そんな昔のものなので、今現在ポップアートをやってるという若い作家は・・・・有名な人は思い当たらないですよね。80-90年代デビュー組がラスト・トレインだったんじゃないかな。
あ、もちろん日本国内で言えば有名な版権ものキャラを油絵やアクリルで手描きして売ってる自称現代アーティストはいっぱいいますけど、すまんが、それ、違うから。gendai aatですから。
六本木の大型会場がコンスタントにやってる漫画家やアニメの企画展みたいなの、あれがポップカルチャーです。ポップカルチャーをミュージアムで見せるということです。
あれはあれで大変に良いもので私も大好きで今期だとそうですねやはり「水星の魔女」か「ぼっちざろっく」ですけれども、ポップカルチャーはポップカルチャーで、ポップアートとはめちゃくちゃに距離があるものです。
鳥取県立美術館の学芸員さん、そこんところわかっててやってるのか、NHKの記者がわかってなくて勘違いして書いたのか、あるいは・・・・これ以上は想像するだに恐ろしくて書けません。
(嫌われるのが恐ろしくて書けないんじゃないからね)
私がバイヤーで3億で現代アートの作品買ってこいって言われたら、ウォーホルよりもこれまでこのメンバーシップで紹介してきたような作家のもの、だいたい500万と1000万の間で買えますから、その辺を買い漁りますけども。
大都市のちょいとお金持ってる連中の観光需要をつつくなら、ウォーホルよりもその方が良いと思いますけども。
まあ、許可は出ないでしょうね。
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