彼女の「タイプ:ワイルド」

女優になった教え子の舞台がまた来月に。だんだん、頻度がアップしている。

彼女が私のゼミにいたのは2012年だったから、もう8年前。

秩父でのゼミ夏合宿。「あの花」の話で盛り上がってた。

彼女がゼミで最後に作った1冊だけのフォトブックを、たしか7000円で買って、今も大事に持っている。彼女の舞台もほぼ皆勤している。彼女ほど芸術に真摯に取り組んでいる人はあまり知らない。

フォトブック

最後のゼミ

7年間の間で一度だけ、彼女が女優を諦めようとしたことがあった。本当かなと思った。数ヶ月経って声をかけたら、やはり諦めきれていないようだった。お前の芝居、もっともっと見たいから舞台に戻れよと焚き付けた。しばらくして彼女は事務所に入り、舞台に戻った。

彼女が青年座研究所を卒業するちょっと前に、大きめのトートバッグを縫ってプレゼントした。

9月に会った時に、市販品っぽくないバッグ持ってるなあ(サイズと設計の両方で。8号帆布製で40*40cmで底マチ無し、防水ナイロン裏地で天ファスナー、ストラップ長50cmかな? 8号帆布で裏地に防水ナイロンを使う設計は珍しいし、底マチ無しで天ファスナーというのも珍しい)と思ってよく見たら、うちのロゴマークが入っていた。

「先生に作ってもらったやつです。これ凄い便利なんですよ」と笑っていた。

使い込まれて、ちょっとくたびれていた。

「いつの間にか、タイプ:ワイルド」

この公演の稽古の風景を写した写真の中にも、あのトートバッグがあった。

そのうち2代目を縫ってやろうと思っている。彼女の旅がこの先も良い出会いに恵まれることを祈って。