【中学生向け】ふわっとしたお題で投げられた宿題の作文の書き方【脱・小並感】

表題の通りです。

ふわっとしたお題、例えば「将来の夢」だの「人権について」だの「生命保険について」だのといった、掴みどころの無いお題と分量だけで飛んできた作文を始末する技法を解説します。

【免責事項】

本稿で説明する技法は大学以降では得点能力も高いはずですが、日本の中学・高校でどうかは私は関知しません。

ただし、

  • 滞りなく書ける
  • 賢くなれる

この2点は保証します。

【作文の構成】

本技法においては作文は必ず4節構成となります。すなわち

  1. 序論(何について書くかを明確に示す節)
  2. 方法(どのような視点から書くかを示す節)
  3. 結果(序論で提示したテーマについて、方法で提示した視点から見た時に、どのように見えるかを示す節)
  4. 考察(前節で見た内容について、評価や判断を示す節)

このようになります。

【序論の書き方】

以下の順番で書きます。

  1. お題の中に含まれているキーワードの客観的な定義と解説
  2. (規定分量が多い場合は)同じテーマについて書かれた文章の内容を二つないし三つ紹介

例えば「鋳鉄について書け」というような、極めて曖昧なお題が飛んできたとしましょう。

必ず最初に、鋳鉄の定義を書きます。必ず、です。今回は便宜的にウィキペディアを使いますが、実戦では紙やデータで売られている百科事典や国語辞典を使い、出典を明記すること。

「鋳鉄とは、ウィキペディアによれば、鉄を使った鋳物全般、あるいは炭素を2.14 – 6.67%、ケイ素を約1 – 3%の範囲で含む鉄の三元合金とされる。鋼との違いは炭素の含有率で、炭素含有率が2%以下のものは鋼と呼ばれる。」

これで97文字。

次に、もう少し詳しい周辺知識を書き添えます。

「一言で鋳鉄と言っても、製法や成分により極めて多くの種類がある。原始的な鋳鉄では炭素が縦長に析出するので、硬くはなるが粘り強さに欠ける。この欠点を解消するために、炭素の含有量や鋳造の方法によって、ダクタイル鋳鉄や可鍛鋳鉄など、粘り強さを出した鋳鉄も開発されており、現代でも極めて多くの工業製品に利用されている。」

これで250文字。

なお、400字詰め原稿用紙の場合はワープロソフトの文字数カウント機能で出てきた文字数よりも、実際の分量が増えますから(改行があるため)、これで260文字くらい来てますね。定義を巡る論争が決着していない言葉も多いので(例えば「文化」とか「社会」とか)、そうした言葉がテーマになる場合は、定義についての代表的な立場を幾つか紹介します。これは必須です。

中学生の作文レベルでは不要ですが、大学のレポートくらいになると、序論後半では、同テーマについて書かれた著名な本や論文を幾つか紹介するとなお良いです。

ここでどんな本を選ぶのかですが、大学の場合は担当教員に相談するのが絶対的に最善です。まともな(教育が嫌いではない)教員ならきっと熱心に相談に乗ってくれます。

補助的な手段としてはWebcat Plusで連想検索をかけ、新しさでフィルターをかけるのもいいでしょう。

Webcat Plusの画面。「鋳鉄」に「2015年以降出版」でフィルターをかけたもの。

【方法の書き方】

ここでは、前節で定義を確定させたテーマについて、どのような方法で議論を展開するのかを書きます。

お料理に例えると、【序論】では材料の確定、【方法】では料理法の決定をします。例えば「材料はジャガイモ、料理法はフライドポテト」という関係です。

ここがキモなので必ず理解してください。

材料は出題者が決めます。その際にふわっとした決め方をする出題者が多いので、作文を書く側で材料を精密に確定するわけですね。

そして、その材料の加工方法は色々です。ジャガイモならばフライドポテト以外にもハッシュドポテト、カレー、ポタージュ、パンケーキ、シェパーズパイなど、いくらでもありますよね。その中から何を選ぶかは、書き手の自由です。

鋳鉄というテーマについても、歴史、利用法、製造技術などなど、山のように料理法が考えられます。

今回は「スキレット(鋳鉄製のフライパン)」を切り口にして鋳鉄の話を進めることにしましょう。例えばこのようにして書き出します。

  1. 「さて、このように鋳鉄は我々の生活のあらゆる場所で活躍しており、文明とは切っても切れないくらいに深い関わりがある工業製品であるが、今回はその中でもピンポイントで、スキレットに注目してみたい。スキレットとは鋳鉄で出来たフライパンのような調理器具である。」
  2. 「何故スキレットなのか、であるが、これはたまたま先日、真っ赤に錆びた16センチのスキレットが捨てられていたのを発見したからだ。」
  3. 「もったいないので自宅に持ち帰り、重曹やクエン酸で赤錆を落として再生したのだが、錆を落としながら、何故このスキレットは捨てられてしまったのかを考えた」

順に説明しましょう。1では、いきなり「鋳鉄の中からスキレットをテーマにする」と宣言しています。次に2において、スキレットを選んだ理由を書いていますが、要は偶然、たまたま目に入ったからという話です。前節で定義を確定させたお題の範囲内に入っていれば、「じゃあこれを選ぶ」と宣言する際の、選んだ対象の必然性は不要です。 3では更に「何故このスキレットは捨てられたのかを考える」までテーマを絞り込んでいます。1→2→3の順に、話の対象がどんどん狭まっているこの感じを憶えておいて下さい。

念の為、ジャガイモでもやってみましょうか。

  1. 「さて、このようにジャガイモは我々の食卓に欠かせない食品であり、また人類史において大きな役割を果たした農産物でもあるが、今回はそのジャガイモについて、カレーという調理法について注目してみたい。」
  2. 「何故カレーなのか、であるが、これはたまたま昨日の私の昼飯がカレーライスだったからである。しかも甘口のバーモントカレーだ」
  3. 「私は甘口のバーモントカレーを食べながら、辛さというものを一切欠いたこのカレーを作るにあたって、ジャガイモは必要なのかどうかを考えていた」

どうですか。簡単でしょ?

ここまでで517文字です。

【結果の書き方】

さて、いよいよ後半です。

この節では、前半で「定義を確定させ」「そこからピンポイントに絞り込んだ」話題について、実際に議論を展開してみせます。

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