End of the road but life goes on

インスブルック開催のUCI世界選手権ロードレース。

女子エリート。
戦前の私の予想では全日本王者・與那嶺恵理選手は前半に目立つテレビ逃げ作戦に出るというものでしたが、テレビ逃げに成功したのは(テレビ逃げ成功だって簡単なことではないのです)ポーランドとコロンビアの選手でしたね。
こちらシクロワイアードのレースレポ。私はリアルタイム配信見てました。
與那嶺選手はメイン集団の後ろめで追走。申し訳無いですが金子広美・唐見実世子の両選手はこのレベルのレースではまともに追走するのも無理でしょう。だから與那嶺のアシストも、感情や遺恨以前に能力の問題として、無理。これは予想通りです。
で、最初の峠で一旦メイン集団が分裂して取り残されるも何とか下りで追いついた與那嶺ですが、インスブルック周回の最初の峠を上りきった辺りでメイン集団から消えて、麓に降りてきたら7分以上もトップから遅れて77位とか。
後は周回ごとに沈み続け、足切りにはならなかったけれど後ろから3番目でゴール。
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弱い。弱すぎる。めちゃくちゃ弱い。呆れるほど弱い。
ですよね? 
これを強いとか、弱くはないとか言うのは無理がある。
何があったのか、中継ではわからなかったし、御本人も多くは語りません。
中継を見ていた限りでは、インスブルックの下りはロードレースの醍醐味の一つ、高速ダウンヒル。しかもガードレール無かったりして、簡単に死ねるとこです。トップクラスは時速80km越えで下りますかね。集団もバラけて一列棒状になっていました。
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地図を見ればわかりますがタイトコーナーのつづら折りではなく、緩いカーブを左右に抜けながら、最大ギア比でペダルぶん回して下り坂をブチ降りて行くコースですね。つまりダウンヒルの経験と技術と肝っ玉が試される区間。私が理解している限りでは與那嶺選手が苦手な領域です。昔から。

(3時間45分頃から優勝したファンデルブレッヘンのダウンヒルが見られます。4時間30分あたりでも。)

さらにインスブルックの街に戻ったら上り基調の狭い街路しかも石畳を抜けてゴール地点に向かいます。インターバルのかかる石畳。私が理解している限りでは與那嶺選手が苦手な領域です。昔から。
昔から昔から苦手なやつがそんだけ来れば、そりゃ遅れるわ。1周7分ずつ削られて3周で20分。計算ぴったり♪
では今後の偉大なる與那嶺さんはどうなっていくのでしょうか? 私はこれ以上強くなるのは極めて難しいと予想します。何故ならば、バイクコントロールが下手なのも石畳苦手なのも瞬発力が無いのも欧米で戦うようになった2016年には明らかになっていたからです。それから2年でまだこの状況です。そして御本人は

体重を減らす必要があると強く感じました。今シーズン、筋トレの継続により身体はどっしり大きくなりましたが自分の持ち味の登りの切れ、スピードは大きく落ちてしまいました。レース展開は最初の登りまでは位置取りは完璧に出来ました。しかしその後の登りでは身体が動かず。

とおっしゃっている。前みたいにヒルクライム特化の身体を取り戻せば、と。でもそれだと(ヨーロッパのレースの大半を占める)平坦での先行争いや石畳で遅れを取るから筋トレしてたんじゃないんですか? 体重の問題なのかこれ?
体重を戻せば解決なのか、それ以外なのかはおいておいて、確かに伸びしろはどこかにあるのかもしれません。でも、彼女のデビュー当時から今までパーソナルコーチとしてやってきた人にはそれを改善する力は期待できなさそうです。2年経ってどうにもなっていないんですから。ですよね?
與那嶺選手のこの年次成績を見ると2016年にTeam Veselka経由でゲスト出走したアメリカのジョーマーティンのTTで2位に入ったのがサクソバンクFX離脱後で一番目立つ成果で、あとは2017、2018と鳴かず飛ばずに近い感じ。
まあ、来年度にドカンと伸びる可能性はゼロではないので、引き続き頑張って欲しいですけれどもね。
では與那嶺選手が例のパーソナルコーチ氏と離れて別の人に指導を受ける可能性は無いのか?
例えばジロローザでステージ3位、1位、5位という、與那嶺選手とは比べ物にならないような好成績を残している萩原麻由子選手にお金を払ってコーチをしていただいて、ヨーロッパでの勝ち方を教えて頂くなんてことは?
普通、プロスポーツでコーチが2年間結果出せなかったら交代も珍しくないと思いますが、そんな話は出ないようです(競走馬と調教師みたいに、どれだけ結果が出なくても指導者が絶対に交代にならないプロスポーツもあるにはありますが)。
そして、このケースでは2020年までには120%どころか200%、無い。絶対に、無い。あり得ないとも思います。イスラエルとイランが同盟国になる方がまだ可能性高いでしょう。宇宙人とのファーストコンタクトが2020年までに実現するほうが可能性高い。
だからこのまんまだと思います。引き続き国内無双。
でもそれで良いのです。彼女の輝かしい国内での実績と、ヨーロッパでの残念な実績の対比。独自のスタイルを貫く情報発信。肉。ビール。そしてビール。カッコ良いっすよね。ストーンコールド・スティーヴ・オースチンみたいだ。是非、お二人にはこのまま突っ走って欲しい。
それらは全て、後に続く者たちへの、これ以上は考えられないような貴重極まりない、考えるための材料となってゆくことでしょう。末永く。