アメリカで少年スポーツの産業化がリーマンショック後、急激に進行しているという記事。
・リーマンショックで補助金が切られた少年スポーツで代わりに資金を拠出せざるを得なかった保護者たちが少年スポーツチームのビジネス化を推進した。
・少年スポーツチームの合宿所を整備した自治体が大量の交流人口獲得(保護者もくっついて合宿に来るから)に成功し、後を追う自治体が現れ、ユーススポーツツーリズムという分野が成立。
・少年スポーツ専門の医療やコーチやPPVプログラムの産業化も進む。
・年収の低い層の世帯の子供たちが少年スポーツから徐々に追い出されていった(お金がかかりすぎるから)
・少年スポーツビジネスでビッグマネーが動くようになった結果、その分け前を子供本人にどう回すかの議論が始まる。
さて、競技スポーツで勝ち上がるためにカネがかかるのは今では常識です。そのカネのために人間性さえひん曲がってしまうトップアスリートもマイナー競技では居ないとは申しません。
あれを見ていると、21世紀の日本のアカデミアを思い出します。限られたパイを若手研究者が奪い合って仁義無き暗闘を繰り広げて、でも客観的に見るとゼロサム・ゲームなので、暗闘にエネルギーを浪費してシーン全体が沈んで、後続の人材が参入して来なくなっていくという地獄。
多少は情状酌量の余地もありますよ。アスリートは勝ち負けがかかったら人間を捨ててでも勝ちを奪いに行くような奴じゃないとなかなか全日本は勝てないんだろうし、研究者も研究のことになったら鬼畜道に足を踏み入れてでも・・という人のほうが有利な側面はあります。
ただ、こういう、若者を人でなしにするような競争はゼロサム・ゲームの時にこそ生まれるわけなので、トップアスリートの活躍がその競技に関わる人全て(量産型ザクやボールみたいなザコにまで)にお金を回すような状況になるよう、工夫していかないとあかんでしょうね。
(人間を捨てて勝ち上がっていくような鬼畜がナショナルチャンピオンになってしまうことの隠れたリスクもそこにある)