仮面劇としての仮面ライダーの奥深さを、藤田慧さん演じる仮面ライダーグリスに見る。

仮面ライダービルド47話「ゼロ度の炎」でついに仮面ライダーグリス/猿渡一海も戦死。思えばここまでに香澄、北都三羽烏、鷲尾兄弟など数多くの若者たち(と氷室首相や難波会長などのおっさんたち)が戦いの中で散っていったのですが、あと2話を残してグリスと内海/マッドローグも戦死。

来週には氷室幻徳も戦死しそうな流れなので、ファイナルダンジョンを突破してラストバトルまでたどり着けるのは戦兎、万丈、美空、紗羽の4人でしょうか。ハードですねえ。こんなハードな仮面ライダーって最近ありましたですか?

さて、グリスと美空の、つまり武田航平と高田夏帆の演技が凄かった件は色々語られていると思うので、ここでは別の感想。

藤田慧さんの演技力が素晴らしい話。

藤田慧さんって誰? 思いますよね。

仮面ライダーグリス役ですよ。

変身した状態のグリス。あの中に入ってるのは武田航平さんじゃなくて藤田慧さんです。つまり戦闘中の動きは藤田さん、戦闘中の声は武田さん。二人で演じてらっしゃるわけです。

仮面ライダーというくらいだから、お芝居としての仮面ライダーにおいて仮面は実はとても大事な要素です。最近の仮面ライダーの戦闘シーンは単に怪人と手下をやっつけているだけではなくて、ライバルとのやり取りや敵とのやり取りの中で、秘密が明かされたり仲間になったり裏切られたりと、物語が大きく動くシーンが沢山ありますからね。

ところが、あれ被ってる時は顔の表情で演技出来ないんです。お芝居で顔の表情使えないって凄いハンデですよ。変身前の役者さんたちのアフレコで声は入りますけど。

メインキャラが仮面被っていて表情使えないというと、能楽もそうですよね。能楽ではシテ(メインキャラ)とツレ(準メインキャラ)は仮面をかぶりますが、ワキ(サブキャラ)は素顔です(ただしシテもツレも自分の声を出しながら演じられますから、一人の役者が自分の役を全てコントロール出来るという点では、仮面ライダーよりも複雑さは低いと思います)。

ところが仮面ライダー。特にグリス。

変身してからも難しい芝居が結構ありましたよ。29話で北に帰ろうとしていたところをビルドたちに説得されて共闘を受け入れるシーンとか。あのシーン、見ていてグリス=猿渡一海の心の動きが絶妙に伝わって来ましたね。あのお芝居。あれを体の動きだけでお芝居して、上に乗る武田航平さんの声のセットアップをしていたのが藤田さん。

47話でも消滅に向かいながら戦い続けるグリス=猿渡一海の心の動きが、変身解除前でもビシバシ伝わって来てました。あれも藤田さんの演技力あってこそだと思います。

仮面ライダーグリスは特に、顔がシンプルなデザインなんで、ちょっとした顔の角度の調整で色々な表情を付けやすいというのもあったでしょう。そういう視点から考えると、武田航平+グリスというのはベストマッチな組み合わせでしたね。

イメージ 1

出典

8/24追記

武田航平さん自身も藤田さんの演技に刺激を受けてやっておられたとインスタグラムに投稿されていました。