こちらの事案。
動画も見ましたがこれは日野氏に9割以上は非がありますね。私だったら来年以降は彼には発注しない。
理由は「暴力はダメ」だけではないです。それは理由の1割くらいでしかない。
問題を幾つかの領域に分けて検討しましょう。
1:音楽実践(musicing)として見た場合
音楽社会学や音楽教育学では音楽に関わる諸活動を、音出し以外のもの、例えばAKB48の衣装デザインのようなものも含めて音楽実践として扱います。
その音楽実践としてこの事案を捉えると、領域は更に音楽演奏と音楽経験の二つに分類出来ます。
音楽演奏としては、事前の打ち合わせのソロ交換をドラマーくんが何かの理由で逸脱したとしても、まだ演奏は続いているし、続けた先に何があるのかはわかりません。
もしかしたらドラマーくんは何か腹案があったのかもしれない。無かったのかもしれない。
いずれにせよ、ああなった以上、それはこの音楽の一部として受け入れるしか無い。
ポピュラー音楽の演奏ならソロが打ち合わせを越えて長引くなんて普通です。川崎街道の駐禁のところに路駐のトラックがいつも止まっているのと同じくらい普通。
むしろドラマーくんじゃなくてマイルス・デイヴィスが打ち合わせ無視でソロ長引かせたら、みんなさすがマイルスだって拍手するんだよ。
まさか日野皓正がそれを知らない、経験していないなんてあるわけ無いわ。
だったら、ああなった先で上手く収拾する可能性(勝手に収拾する、自分が音楽的に介入して収拾させる)もわかっているはず。リズムキープはしているのだから、他の奏者に指示してソロに被せて演奏を再開させることも出来るし、自分がトランペットでソロを被せてドラマーくんの注意を喚起してから、アイコンタクトで全体演奏に戻すことだって出来る。私もバンド演奏でヴォーカリストが進行間違えてドラマーが釣られた時、演奏を止めずに正しい進行にアイコンタクトで復帰させたことがあります。私はギターね。
スティックを取り上げて髪の毛を引っ張って殴る。それは音楽ではないです。音楽上のハプニングを音楽ではなく肉体的暴力で妨害するなんて音楽家として低能です。
打ち合わせ無視したのがマイルスだったら絶対髪の毛引っ張ってないぞ日野皓正。
また、観客にとってもあんなシーンは後味が悪いものです。あたかも演出であったかのように長過ぎるソロを上手く着地させてこそ音楽監督だべ。
2:教育として見た場合
教育実践として考えましょう。教育の中では児童生徒学生が予定外予想外のことをやらかすなんて当たり前です。それを殴って止める教師なんてクズです。
予定外予想外のことが始まったときが、むしろ教師の腕の見せ所であり醍醐味です。失敗や暴走も含めて教育なんです。
残念ながらそれが出来る教師ばかりでは無いですけれども。
ドラマーくんがあのような行動に出た。そこには必ず理由があります。
教育実践として考えると、教師は何故彼があのような行動を取ったかを丁寧に調べ、そしてあのハプニング全体を意味のある経験として受講者に解釈させ、受講者全員の成長を図る必要があります。殴ってどうするよ、殴って。
それが出来ないということは、日野皓正氏は教育者としてどうなのよと。
3:市民として見た場合
髪の毛を引っ張ってる時点で言い訳出来ません。暴力です。刑法に抵触します。しかも舞台上でやる。60年代じゃないんだから。
4:まとめ
カネに困ってない大御所よりも、教育者としても有能な若手や中堅のジャズミュージシャンに来年から発注しましょう。