人はいかにしてチームプレイに習熟するのか。
例えば自転車ロードレースで、個人TTや集団がバラけた後のエース同士の個人能力の勝負ならば滅法強いのに、チームのアシストライダーとしてエースを支えるというタスクがどうにも上手く出来ないという人がいます。
これを一般化すると、個人能力は飛び抜けているのに、チームに入って能力を活かすことが苦手な人。多分、昔は私もそういう人だったと思います。
では、そんな人はどうしたらチームプレイヤーとして成長出来るのか。
私自身は、自分がリーダー役や調整役をやらないと話が進まないという経験を数多く積むことで、色々な視点を手に入れて、チームとして成果を出すことに貢献出来るようになったように思います。
では、リーダーやサブリーダーを経験しないと人はチームプレイヤーになれないのか? かつての私のゼミのメンバーの顔を色々と思い浮かべてみると、そういうことも言えない。しかしながら、例の低レベルな発想「空気を読む」で彼・彼女らがチームプレイヤーになったのかというと、そうでもなさそうです。
理想を言えばチームメンバーが信頼関係をお互いに確立していれば、チームプレイヤーとしての成長は早いでしょう。ですが、通常はチームプレイヤーとしての個々の成長が信頼関係をも育てるようにも感じます。
リーダーが的確にタスクを切り分け、配分し、目的と価値観を共有させる。その上でそれぞれが数多くの経験を積む。順調な時も逆境な時も一緒にそれを通り抜ける。
そういう時間をどれだけ持ってきたかが、チームプレイヤーとしての能力をある程度は規定するでしょう。
チームに所属するのはあくまでも自分個人の目的(収入や名誉の獲得)を達成するため。そうなると、チームメンバーとして割り振られたタスクの理解も表層的で、ちょっと状況が荒れると自分で考えてアジャストして動けない。形だけはチームに言われたことをやってみせてるけど、ヴィジョンをチームと共有していないから、どうにもチグハグ。
そんな若者が若者でなくなると、もはや若いからという割引は無くなります。だから、若いうちに良いチームでチームに没頭するのは良い経験。言い換えれば下積み経験ですね。
それをやってみて、やはり組織に属することが本質的に苦手と気づいたならば、一人で戦って一人で結果を出せる分野に特化した方が良いでしょう。冒頭の事例であれば、世界選手権で勝てるレベルの脚があれば別ですが、そうでなければシクロクロスやMTBクロスカントリーの方が良い。何故かって? サポートしてもらう側こそメンバーへの細やかな気配りやリーダーシップが無いとサポートスタッフの能力を引き出せないからです。