佐渡裕さんの2003年のドキュメンタリーを見ました。
パリ市にあるプロのオーケストラが資金難に陥り、おそらく次のコンサート(曲目はベートーベンの交響曲第9番「合唱付き」)限りで解散になるであろうという状況で、首席指揮者だった佐渡さんも悩みながらベストなコンサートの実現を目指して奮闘するという内容です。
見どころは色々あるのですが、個人的には佐渡さんが合唱団のレッスンを指導する長い長いシーンがぶっ刺さりました。
佐渡さんは英語とフランス語とジェスチャーを駆使して自分がこの演奏で表現したいものを合唱団に教えるんですが、言語コミュニケーションで用いられる喩え、話すリズム、ジェスチャーの使い方、表情、合唱団に指示するワーク(手を繋いで歌ってみよう、とか)などなど、繰り出す順番も緩急もタイミングも素晴らしいの一言。
一流のマエストロがいかにして何十人もの集団を指導し、まとめていくのか。その技術を堪能させていただきました。
・・・・・な~~んてのは表向きの話よ。内心はもう心臓ドキドキよね。だって私、佐渡さんに振ってもらった経験のある学生をゼミ生として教えたことがあったんですもん。
世界の一流マエストロと自分が、指導者という意味で同じ土俵で同じ若者を教えてた。それって怖くない?
当時、佐渡さんは42歳。今の私とほぼ同年齢。俺にこのレベルの教え方が出来るのか? 多分、多分出来る。やれていたはず。いやしかし・・・こわっ!!!
【まとめ】
・教える仕事は怖いですよ。あなたの教え子はどこかで超一流の誰かにも何かを教わるかもしれない。
・だからどこの誰と較べられても胸を張っていられるよう、少なくとも全知全能を尽くしましょう。
・その心意気も無い人はさっさと辞めなさい。