モスクワで現代アートフェア「コスモスコー」が今日から開催されるそうで、早速artsyが特集ページを公開しています。
実はロシアは18世紀末の啓蒙君主の時代から西ヨーロッパのアートの輸入には熱心で、エカチェリーナ2世が集めたオールドマスター作品、19世紀末の実業家のイワン・モロゾフとセルゲイ・シチューキンが集めた印象派のコレクションなど、すんごい規模のコレクションが存在しているのはご承知の通りです。
ただ、そうした大昔の栄光だけではなくて、現代でもロシアの成金の皆さんは活発に現代アートを収集しているし、成金の美人妻の皆さんは現代アートのパトロンとしてアートスペースを開設して市場の開発や作家の育成を手がけていらっしゃるわけです。
さて、日本では現代アートのビジネスがなかなか育たないという話をちょくちょく聞くのですが、理由は多分、現代の成金が現代アートを集めないからです。ユニクロの柳井、楽天の三木谷、ソフバンの孫、サイバーエージェントの藤田、DeNAの南場なんて現代成金の皆さんが現代アートのコレクターだなんて話は聞いたことがありません。クロスカンパニーの石川社長くらいでしょう。
かつてブイブイ言わせた小室哲哉やつんく、B'zの松本さん、ジャニタレの皆さん、AKBのセンター女史たちも、野球やサッカーのスーパースターの皆さんも、現代アートのコレクターじゃないですよね。秋元康もとんねるずも。ビートたけしは自分が現代アート作家のまね事しちゃってますよね。殿、まずは集めて下さい。
やはり「今をときめく成金諸姉諸兄」が現代アートを買い漁って見せてこそ、下々も「じゃあ売り出し前の安い作家を買ってみるか」と思うわけでして、日本の公務員や大学教員はそこ押さえてないから「現代アートのまちづくり」がただの税金食いで結果出せずに(結果出したことにはなってるけど)死屍累々なんです。
草間彌生の水玉案件を目玉に、聞いたこともない作家の2流作品を寄せ集めて、あとは地域住民と「作品づくりワークショップ」をやって、廃校をメイン会場にする。日本のあちこちで見られる風景ですが、そんなことする前に成金コレクター化計画を推進していかないと、いつまで経っても日本の現代アートは税金食いを卒業出来まへんわ。