「まちづくり」には(実力のある)グラフィックデザイナーの能力が役に立つ

栃木県の那須町にキャンプに行ってきました。

初日はいきなり記録的な豪雨(1時間あたり110mmとか)+雷に直撃されてタープ倒壊。二日目も夕方の豪雨で再びタープ倒壊。テントの床下には水が溜まってウォーターベッド気分でしたが、おかげさまで経験値を荒稼ぎいたしまして、これからは栃木県でキャンプをしないようにして参りたいと思います。君子危うきに近寄らず。

さてその那須町なんですが、「那須町屋外広告物条例」というかなり厳しい条例があって、観光屋外広告物を規制しています。広告物を掲げてはいけない地域も指定されていますし、許可を受けなければ広告物を出せない地域もある。

で、その要許可ゾーンを走り回ってみた感想です。

「仕事の出来るグラフィックデザイナーに話聞かなかったんかい」

はい、どう考えても成功しているとは言えないですねこの条例。以下に施工規則の抜粋を示します。単純に言えば、焦げ茶地に白だけ使って看板作れよという条例です。

「色彩は青銅製にあたっては着色しないものであり、木製又は擬木にあってはこげ茶色であって、文字は白色又は黒色とし、発光塗料を使用しないものであること。ただし、1面につき表示面の5分の1の範囲内において、色彩の制限のない一の図柄(以下「ワンポイントマーク」という。)を表示することができる。」

これ、字面だけ見たらなんか良さそうでしょ? ところがお客様、実際にこのゾーンを車で走ってみると、非常に迷います。だって全部同じ看板に見えるんだもん。

今回あらためて実感したんですが、我々、あの業種にはこの手の色彩ってイメージがあるんですねえ。ラーメン屋なら赤とか黄色で、ソバ屋なら白と黒で、パスタ屋なら緑赤白みたいな。それが全部焦げ茶と白っすよ? クルマで走りながら店探すの怖いですよ。歩道無いから歩行者が路肩歩いてて、よそ見してると轢いちゃうから、看板なんか一瞬しか見れませんもの。

そして今回も息子と二人でデザイン検討委員会。

私「セブンイレブンとファミマとエネオスは焦げ茶に白でも判ったよな? あれは、マークを見慣れているから、色が違ってても見つけやすいからだろうな」
息子「茶色と白だけじゃ見づらいよな!」
私「デザイン悪いよな」
息子「悪い! もっと色々な色を使えばカラフルになるのに」
私「でもちゃんと考えずに好き勝手に色を使うと、全体が調和しなくなるぞ。デザインの本にも出ていただろう。」
息子「なるほど、そうか!」
私「例えば、業種ごとに色を決めておいて、看板の端に塗るってのはどうだろう? 銀行ならこの色、ラーメン屋ならこの色、みたいに」
息子「良いねえ」

はいそういうわけで、自治体で街並みの色を規制するんだったら、色彩調和の理論を知っていて、実務経験も豊富で、そしてデザインの本質(=課題解決)を理解しているグラフィックデザイナーにきちんとお金払って(数百万円くらいですかね)デザインしてもらうべきですよ。