伊豆大島調査プロジェクト始動!

今日から3年ゼミは伊豆大島調査プロジェクトの事前調査の報告が中心の運営になります。

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伊豆大島フィールドワーク | Facebook

最初のチームは「東京都離島振興計画」という文書を分析して、関連するトピックを抽出しまとめよというタスク。「ごみ最終処分場建設」が伊豆大島の課題の一つとして挙げられているということがわかったので、可燃ゴミの焼却灰がどう処理されているのかを、多摩地域の例を挙げて説明し、「こういう問題って離島ではどうなっていると思う?」という問題を提示。「小さな島だと、うかつな所に造ったら水源汚染も発生するよね。これは離島という環境下で深刻さが増す問題なのかもしれないよ」という話をしました。その他、追加調査が必要なポイントを幾つか指示。

次のチームはゼミのツイッターとフェイスブックのアカウント開設を担当していたので、その報告と運用方針についての議論。フォローやコメントのリプライをどうするのか、個々の顔や名前はどこまで出すのかについて方針を決めさせました。

2011フィールド調査加藤ゼミ・ツイッターアカウント

#!/KatoSeminar

3番目のチームは日本離島振興センターでの聞き取り調査の準備状況の報告。近々、聞き取り調査に向かうとのことで、どんな質問をしたら良いのかを議論。他のチームから鋭い指摘が出されて、質問項目の改善に繋がりました。

4番目のチームは山崎亮『コミュニティデザイン:人がつながるしくみをつくる』、そしてその中に登場する海士町の町長さんが書かれた山内道雄『離島発 生き残るための10の戦略』を読んで内容のサマリーを紹介。このチームからは、山崎さんの本の内容から更に独自の考察を進めて「コミュニティは、そこに住んでいる人だけでなく、そこを訪れる人にとっても快適なものであるのが理想なのではないか」との意見が出されました。これは観光地だけでなく、例えば私たちの立教大学も交換留学生など、一次的に勉強しに来てくれる人たちであるとか、私のような非常勤講師など、どちらかと言えば訪問者的な人間がいますが、そういう立場の者にとっても「良いコミュニティだな」と思えるところは、きっと良いコミュニティなんだろうと思います。

5番目のチームは、大島町の各種の統計の分析から、島の現状を見てみようというタスク。人口動態、産業、土地利用などの統計の数字を他の自治体(八丈島、石垣島、多治見市)と比較してみせてくれました。そこから見えてきたのは、高齢化少子化が凄まじ勢いで進んでいる現状。農業においても多治見の方が単価が高い(高付加価値の)作物を作っているということが見えてきました。

最後のチームは「大島町報」のバックナンバーの分析から、自治体としての政策課題を推測せよというタスク。ここでも高齢化問題が最大の課題として捉えられており、様々な施策を試みているにも関わらず、一向にこの問題が解決していない、すなわちこれまでの施策はあまり有効ではないと言えるのではないかとの報告でした。

それぞれの作業はかなり細かい部分まで私が方向性を示してやらせていますけれども、どのチームもちゃんと何らかの知的生産をしてくれているのが心強いです。あるチームの報告だけでは解釈が難しかったトピックも、他のチームの調査内容とつき合わせると「こういうことか」とわかるというケースも幾つかありました。まだプロジェクトは始まったばかりですが、基本中の基本といえるような作業を順次こなして進めていますので、学生たちも「なるほど、フィールド調査とはこうやって始めるものなのか」と実感してくれているのではないかと思います。希望的観測。