先日、都内の屋上/壁面緑化のフィールド調査をゼミでやった時、待ち合わせ場所に到着するのが遅れるとかいう学生からの連絡があったので(電車乗る方向を間違えたらしい・・・・・)、その辺の書店で暇つぶしをしておりました。
何か目の前にまた例の『ビーパル』が落ちていたんで、パラパラと眺めていたら、また例のリバーカヤックのおじいさんの繰り言が出てきて・・・・あ~あって感じです。
御大将、どこかの大学で講演会をして、ユーコン河の下流部での野営生活がいかに過酷かを滔々と語ったらしいんですね。それで、君達もそういうとこに行きなさいと格好良くまとめたら、「就活が忙しいんで」「そんなとこに行っても就活には役に立たなさそう」と言われて激怒。あとは例によって「日本社会はこういう若者をつくりだして来て云々・・・」という手癖フレーズのオンパレードだったんで読むのを止めました。
30年間一貫してこの芸風ですもんねえ。ユーコン自慢と行政・教育・漁協叩き。地下鉄漫才も真っ青。
私は断然、学生の肩持ちますね。この未曾有の就職難の時代に、学生たちがどんだけ追いつめられているかわかってんのかって思いますよ。それに、言っちゃなんですけども、御自身は家庭持ってちゃんと子育てやったわけでもなければ、地域社会の責任あるオトナとして働いたわけでもないですよね。かつてエッセイの中でやたらと持ち上げていた某作家のワイルド系リバーカヤック育児はその後どうなったかといえば、親子絶縁状態になって、息子は1戦0勝のプロボクサーになった後にアメリカに流れて行っちゃったし。
自分は自分で、気に入った土地にふらりと住み着いては、居心地が悪くなるとどこかへ行ってしまう。千葉の亀山湖から出て行った時に、地元住民の方々に対して読むに耐えない悪罵を浴びせていったあれは、今でも本屋に行けばちゃんと活字になってるのが買えちゃうわけでね。個人的には御大よりも私、自分の父親の方が遙かに尊敬出来ますね。両親の最後をちゃんと看取って、子供も一人前になるまで育てて、自治会の会長もやって、偉いですよ。まともなオトナってのはこういうもんだって思うもんな。
まあユーコンも悪くないですよ。でも、押しつけたって駄目なんです。当たり前でしょ。大学生なんだから。人生で一番生意気な時期なんだから。そんな70過ぎた悠々自適のじいさんが上から目線で説教して、ちょっと言い返されたらぶち切れて。そんなの教育じゃないよ。
私ね、昔、ろう学校の研究を始めた頃に、ある先生に「ろう学校で教える上で一番大切なことは何ですか?」って質問したことあるんです。そうしたら、間髪入れず返ってきました。
「目の前にいる子供を愛しなさい」
手話がどうたらとか口話がうんたらとか以前の話として、教える相手を愛せないようじゃどうしようもないでしょ。そういう話。あれはいまだに鮮烈な想い出ですね。実際そうだと思うし。学生に説教垂れたいなら垂れりゃあ良いんだけど、大前提として、目の前にいる学生に対する愛が無いとね。話になりませんよ。もとからそういう話に興味があれば別だけど、そうじゃない若者たちの心をどうやって動かすかが勝負ですし、30年間同じネタでやってりゃ時代に取り残されるのは当たり前でしょ。その時、自分の持ちネタが目の前にいる学生たちの役に立つという信念があり、学生たちの役に立ちたいという心からの思いがあるんなら、自分をフェイスリフトして語り口を変えていけるっしょ。
違う?