職人魂

 最近実際にあった会話その1。

 整備に出していたロードバイクのホイールセット(マヴィック・キシリウム・エディションスペシアーレという、定価が13万円くらいのもの)が完成したそうで、ショップのオヤジさんに「いくらですか?」と尋ねたら・・・・

オヤジ「1000円で良いですよ」
私「え・・・? 安過ぎない?」
オヤジ「大丈夫です。ちゃんとやってありますから。」
私「というか・・・・もっとお金取れば良いのに。何かいつも商売っけ無いよね。」
オヤジ「金儲けにあんまり興味ないんです(笑)」
私「せめて3000円くらいでどう?」
オヤジ「あ~良いです良いです。」

 会話その2

 電装系の調子がイマイチなストラトキャスターの整備をお願いしに行った、地元のギター職人さんの工房にて。

私「これはピックアップ本体がおかしいんですかねえ。何かジャンクのピックアップ代わりに付けてみますか。」
Iさん「何かあったかなあ・・・・ああそういえばヴァンザントのBLUESってのがあったか。」
私「そんな良いやつですか!」
Iさん「あれ、いくらだったかなあ・・・・。」
私「サウンドハウスで7000円くらいで出てますね、今は。」
Iさん「うちのは15年くらい前に仕入れたやつなんですよ(笑) あ、あった。これだこれだ。おお、未使用だなこれ。え~と、工賃込みで××××円*でどうですか。」
私「・・・・・安っ!」

 まあ私自身もそうなんですが、職人系の人間ってあんまし金儲けに興味無いんですよね。沢山稼ぐ奴が上等な人間だって価値観を持っていない。納得いく仕事をやらせてくれたら、そこそこの料金でいいやってなっちゃう。

 私は職人さんを大切にしてますから、仕事をお願いするときは基本的に「納期はそちらまかせで、料金は先方の言い値を黙って支払い、作業内容は職人さんの意見を充分に聞いてから決定」です。今、近所の家具工房に息子の勉強机をオーダーしてますけど、これもそう。職人さんが納得いく仕事を一番やりやすいようにオーダーする。結局それが一番良い仕上がりになるし、料金だって吹っ掛けられることはありません。オーダーの際に充分にコミュニケーションをするので、職人さんの人間性もちゃんとそこで見極めて、信用出来る人にしか発注しませんから。むしろ、なんだかんだで最終的にはお買い得なことになっちゃう方が多いですかね。

 経済活動は合理的にやるのが当然だし最善。そういう発想も結構ですが、こと職人相手ともなると、必ずしもそうではない。これ、憶えておいて損は無いですよ。

*山手線の内側あたりで開業している有名工房なら倍か3倍の値段は言います。