やはりポモやカルスタは終わっていたらしい

 昨日はETC特別割引の最終日。私も妻子とともに東名高速で東京へと戻りました。帰路の平均燃費は11.5km/l。ちなみに往路は9.8km/lでした。何と17%も帰路の方が燃費が良い! 帰路の方がむしろエンジンは回し気味だったのに。何故か。

 風ですよ。往路はひたすら強風の中を風に向かって走っていったのに対し、帰路は同じくらい強い追い風で帰ってきたんです。それでこれだけの差が出る。だからベンツとかエルグランドみたいに図体がでかい車に乗っている人や、プロボックスみたいな営業車に乗っている人は、高速道路では徹底的に前の車の真後ろに張り付いてスリップストリームでの燃費向上を心がけているんですね。危険極まりない走り方ではありますが、エコといえばエコですもんね。煽り運転。

 さて、1週間も家を空けていたので、当然ながら食材は何もありません。スーパーで食料を買い込まなければ晩ご飯も食べられない。そんなわけで、矢野口のアメリアでお買い物をしてから家に戻ったのですが、息子がおむつを替えてもらっている間に書店の「ベストセラー」コーナーの『日本の難点』という新書を流し読みしたら、びっくりするようなことが書いてありました。

 一言で言えば、「世の中の制度とか決まり事はみんな虚構なんだけれども、それをわかった上で敢えてそれらの虚構を使って自分たちの生きている社会を支えていくことが、これからは必要だ」という話。

 著者の宮台真司さんといえば、かつては怪しげな性風俗の研究で売った社会学者で、私にとっては「サブカルの宮台」でした。「カルスタの宮台」でもあったかな。少し前に書いたように、私はある時期以降、その手の世界から意識的に距離を置いてきましたので、宮台さんが近頃どんな本を書いておられるのかも全く気にしていなかったのですが。なんだ。あの「サブカルの宮台」でさえ、出した結論は俺と同じだったのか。

 何度もこのウェブログで書いてきましたが、伝統文化とかスピリチュアリティとか地域コミュニティなんてものも、言ってみれば虚構であり、ちょっと気の利いた社会学者なら「ハシゴはずし」なんて簡単なんです。私は「誕生もの」と勝手に名付けていますが、『~~の誕生』というようなタイトルの本を社会学者が書いていたら、中身はたいがいが「~~という制度(とか文化)は大昔からあったもんじゃなくて、こんなふうにして近代にでっち上げられたものなんだぜ」というお話ですよ。そうやって世の中のありとあらゆるもののハシゴを外してまわったのが、ここ60年ばかりの人文系の知識人だったんです。

 でも、そうやって何でもかんでもハシゴはずしをして世の中がどうなったかといえば、煮くずれたジャガイモみたいに掴み所のないものになっちまった。得をしているのは、その手の本を書いて売っている学者だけだ。この構図の救いがたさに嫌気がさしていた頃、私は「自分たちの航海術はでっちあげとわかっていても、それを敢えて大切に守り育てている人々」に出会い、その(敢えて虚構に乗る)覚悟を見習わねばならんと思ったのでした。

 そうかそうか。あの宮台でさえ。ちょっと親近感が湧いちゃったよ。でもよ~く考えてみれば、結局、それ以外に選択肢無いもんね。