先住民族サミットの宣言文が公開されました。
このうち、「日本政府への提言」という文書について、まずコメントしてみたいと思います。以下は、必ず「日本政府への提言」の原文に目を通された上でお読みください。
提言の内容は次のようにまとめられるでしょう。
・過去のアイヌ政策について、日本政府による公式な謝罪を勧奨
・有識者懇談会の人選についての提言
・アイヌの言語権、自己決定権、自然資源利用権の回復の勧奨
・アイヌ語の公用語化、義務教育におけるアイヌ語学習体制構築、アイヌの視点に立った歴史教科書の作成などの勧奨
・北方領土問題に関する交渉へのアイヌの参加の提言
・日本国を他民族国家として明確に位置づけることの勧奨
全体的な感想としては、提言個々の内容以前に、もう少し文章を推敲した方が良かったのではないかという印象が強いです。例えば教育関係の提言などは、具体的にどういった政策を提言しているのか理解し難いものがあります。公用語化とは具体的にどういった状況を指すのか、義務教育でアイヌ語を学べるとは、アイヌの子弟におけるアイヌ語学習・アイヌ語による学習権の保証ということなのか、それとも希望する日本国民は誰でもアイヌ語を義務教育で学べるようにすべきと言いたいのか。
歴史教科書についても、従来の歴史教科書に加えてアイヌの子弟用にアイヌの視点に立った歴史教科書を作成すべきということなのか、あるいは全ての歴史教科書にアイヌ側から見た北海道島の歴史という記述を付加しようと言いたいのか。
この辺りが非常に解りづらいです。
全体の文体そのものも、もっと格調高く詩的なものにした方が、訴求力という点では有利だったでしょう。さすがに70年代風対決調の文章よりは柔らかいですけれども、それでもなおアイヌや先住民族の権利に関する国連宣言についての具体的知識を持たない大多数の日本人にとっては、この文章は困惑を引き起こすものではないかと。
実質、1日程度で起草された文章ということで、仕方ない面もあるんですけどね。
私自身がアイヌであれば、積極的にこういった点について意見して、宣言文への推敲を加えていたと思うのですが、何しろ私はアイヌではないですからね。さすがにアイヌによる宣言文に口出しは出来ません。
まあ、先住民族サミットを開催したアイヌの方々としても、これは、これから長く続くであろう議論のとっかかりとして提出されたものだと思いますから、様々なところから意見が出てくることで、最終的なアイヌ問題の解決に繋がっていくのだと思います。
私としては、内容はともかく文章をもっともっと磨き上げていくべきではないかという意見をとりあえず提出しておきます。
