奥畑谷戸公園予定地に南山の新しい快楽の兆しを見た

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 昨日はNPO法人「南山の自然を守り育てる会」主催のイベント「再発見! 南山」に参加してきました。妻子を連れて。

 まず工事事務所に集合して、旧南山スポーツ広場跡地から崖地上の工事現場を見学。南山スポーツ広場跡地に出来ている調整池は工事用の仮のもので、最終的にこの地区に造られる予定の調整池とは別なんだそうです。

 崖地上ではキャタピラー社の超巨大35トンダンプ(CAT735アーティキュレートダンプトラック)の見学もさせてもらいました。これ、でかすぎて日本の公道は走らせてもらえないんだそうです。だから分解して持ってきて工事現場で組み立てたんだとか。

 子供たちは運転席まで上って写真を撮らせてもらっていたのですが、私は息子に見せてやるという口実で自分がちゃっかり楽しんだりして。こんなでかいものをどんなエンジンで動かしているのかと思って調べてみたら、直6の15.2リッターディーゼルターボ。394馬力。案外小さいな。まあ最高速度30キロ、場内の速度制限20キロですし、トルクは鬼のように出ているんでしょうけどね(1気筒あたり2.5リッターと、普通の乗用車用エンジンの5倍の容量がありますから、普通の乗用車みたいに6000回転とか7000回転なんてとても回らない。だからトルク×回転数で算出される最高出力の値は大したことないわけです)。

 続いてはいよいよ森の中に入っての散策です。私にとってはかつて自転車で何度も走り回ったエリアですが、大半の参加者は初めて見る風景ですから、それなりの感動はあったようです。ただ、狭いシングルトラックに70人もの参加者が一列棒状に入ってしまったので、「南山の自然を守り育てる会」メンバーによるガイドは殆ど機能していませんでした。同会のS氏からは「是非、忌憚無い意見をブログに書いてください」と言われているので遠慮無く書かせていただきますが、仮に今後、同会が奥畑谷戸公園を中心にしたエコツーリズムを考えているのであれば、ガイディングのテクニックは一から学ぶ必要があるでしょう。

 例えばあの区間では

・現在歩いているのはどの辺りか
・区画整理事業完了時にはどのような姿になるのか
・現在の植生はどういった経緯で成立しているのか
・同会の今後の取り組みは
・行政や組合との間ではどういった議論があるのか
・埋蔵文化財調査の結果はどうなっているのか

など、様々な話題が考えられます。更に言うと、あの区間を歩いている間にそういった内容をガイドトークできちんと伝えられていれば、あのイベントの目的の8割は達成出来ていたはずなのです。

 何だったら「南山・何でも検証ワークショップ」でプロのネイチャーガイドを講師に呼んで「南山におけるエコツーリズムの実践」をテーマに1回やってもよろしいですよ。

 さて、集団は奥畑谷戸公園予定地の南端をかすめて歩き、奥畑谷戸公園予定地と公益施設予定地の境目あたりで昼食となりました。豚汁の無料サービス、そして地元の古老によるかつての南山についての話などは、非常に良い企画だったと思います。大成建設提供の子供じゃんけん大会(賞品はCAT735ダンプのミニカー。かなりでかい)も良かったですね。そうそう、大成建設の社員さんの中に若い女性が居たので、めずらしいなと思って話を伺ったところ、4月入社で半年間の現場研修に来ているのだとか。事務職採用なので、この研修が終われば後はずっとデスクワークなのだけれど、南山の現場は色々なものが見られて楽しすぎるので、研修が終わるのが悲しい。出来ればまた現場に出たいとおっしゃっていました。

 昼食の後は奥畑谷戸公園予定地の外周を時計回りに一周する形で移動し、奥畑谷戸公園と「南山の自然を守り育てる会」が取得してトラスト地にする予定のエリアの間あたりで「ミニ盆栽づくり」にチャレンジとなりました。要するにそこら辺に生えている草木を盆栽にするというコンセプトです。あの辺りは一旦、造成がかかって草木を引っこ抜いてしまいますから、その前にいくらかだけでも市民が自宅に持ち帰って育てて、いずれ南山に戻そうというわけですね。

 最後に組合事務所の前で、地権者の方々提供の稲城産の梨(今が旬)をお土産にいただいて解散。暑かった・・・・。暑かったけれども、なかなか楽しいイベントでした。

 今回は奥畑谷戸公園予定地をぐるっと一周したんですが、あの5ヘクタールはでかいですよ。それで左右に樹木葬方式の市民霊園とトラスト地がくっつくわけですから。私の感覚で言うと、あの一帯が現況保存をベースに利用されていくとすれば、南山の中でも一番濃いエリアの6割程度は残る感じですね。崖上の(崩落が)怖い絶景とか、不気味さ満点のありがた山とか、崖ウラのアズマネザサのトンネルといったスポットは無くなってしまいますけれども、もともとが他人の持ち物の中に勝手に入り込んで遊ばせていただいていた立場ですからね。あの濃度の高い5ヘクタールをポンと市に寄贈していただけるだけでも感謝しとかないと。

 それに、南山のこれまでの楽しみ方って、どうしてもシングルトラック上を線で移動しながら風景を楽しむのが中心だったんです。1回ちょろっと歩いただけで雑誌やテレビやブログで南山を語っちゃう人にはわからんかったでしょうけど。だって森林部分は基本的にアズマネザサで藪化していたから入れなかったし、農地は当たり前ですが入ったら怒られますし。でも、奥畑谷戸が公園になったら、ここは面で楽しむことが出来るようになる。私は埋蔵文化財調査が始まる直前、下草が刈られた尾根を歩いたことがありますが、あれは素敵な経験でしたよ。木の上の方でキツツキが幹を叩いている音なんかも聞こえる。木の幹に耳を当ててそれを聞くことが出来る。

 奥畑谷戸公園には、これまで体験不可能だった、新しい南山の楽しさが待っている。私はそう確信しましたね。

 昨日は組合事務局長や稲城市開発調整課の吉岡係長、組合都市計画プランナーの宇野さんもいらしてましたが、皆さん「どんどん市民からの意見を聞かせてください。対応出来るものは積極的に対応します」と口を揃えておられます。こんな物わかりの良い開発事業って無いと思いますよ。全面保全以外は議論に値しないなんて通りすがりの文化人の無責任な意見は蹴っ転がして放置でもう良いんじゃねーの。もうそういうものの相手をする時間は余っていないでしょ。

 奥畑谷戸公園をどうするのか? 樹木葬は実現出来るのか? 里山コモンズ住宅をどうやって売るのか? 私たち稲城市民が考えなければいけないこと、サポートしていかなければならないことは山ほどある。そしてここが肝心なんですが、工事は毎日着々と進んでいる。プランを出し、合意形成を行う時期が早ければ早いほど、プランの自由度は大きくなります。
 6月市議会の請願不採択、7月都議選での共産党候補落選に続き、今日の夜半には南山開発見直しを訴える候補の衆院選落選も確定するでしょう。これで反対運動には黒星が三つ並んで黒い三連星です。マッシュ、オルテガに続きガイアも戦死で、もう充分だと思います。これ以上、引かれ者の小唄に耳を傾けている暇はありません。