近年、コミュニティビジネスや社会的企業が注目を集めています。
「南山・何でも検証ワークショップ」でも社会的企業家である甲斐徹郎さんや大場龍夫さんをお呼びしての話し合いを行いましたね。
その甲斐さんや大場さんが代表を務めておられる組織は、NPOではなく会社形態です。宇野健一さんが手がけたコーポラティブ住宅「ヴィレッジ浄瑠璃」のコーディネイトをしたのも有限会社組織としての「夢見隊」でした。
私はNPO組織は万能ではないと考えていますが、特にNPOが向いていないのは単価が大きな商材の取引だと思います。例えば自動車ね。例えば高級楽器。他にも色々あるでしょうけれども。何故かといいますと、NPO組織の多くは、「やりたいことを、やりたいひとがやる」を基本にしているからです。こう書くと何か格好いいですが、もう少し現実に即して書けば「やりたいことだけを、やりたいひとだけが、やりたいときだけにやる」だったりする。
仲間内で集まって楽しむのが最大の目的のNPOならそれで全然構わないですよ。でも、「やりたいことだけを、やりたいひとだけが、やりたいときだけにやる」組織は商売に手を出しちゃいけない。クレーム対応やりたくないから俺ヤラネ。検品作業めんどくさいから俺ヤラネ。書類書き誰かやっといてよ俺ヤラネ。やっぱこう、もっとクリエイティブな仕事したいんだよね。広告戦略とか俺にまかせてよ。
「社長、あいつスタンドプレーしかしないし締め切り守らないし、どうしようもないっすよ。取引先では色々吹いて顔と名前売ってくるくせに、地味な仕事はちっともやりゃしない。もうクビにしてください(泣)」
「○○君、申し訳ない。我々は会社ではなくNPO。私に人事権は無いんだよ。」
「じゃあせめて業務命令でスタンドプレー止めさせていただけませんか?」
「実は私には指揮命令権も無いんだ。みんなでお願いするしかないな。」
「でも社長、あいつ都合の悪いメールは無視するし、風向きヤバくなると雲隠れするんですよ?」
「どうしようもないんだよ。それと、私は社長じゃない。」
あなたは、こういう組織からいくらまでなら買い物できますか? ギターのピック100円。ボールペン100円。ノート100円。そのくらいなら私も買い物しても良いな。中古のリカちゃんハウス500円。無農薬栽培トマト500円。有機栽培のジャガイモ700円。まあ何とか。でもそのくらいまでかな、私なら。
藤崎達也さんのNPO SHINRAとか、会社組織としてきちんと運営されているとこも沢山ありますけどね。最後は「売っている人間を見る」ってことかな。どこまで信用して良いのかを、買い物の金額と睨み合わせながら、ね。