「稲城の宝-南山の自然を未来の子供たちに残すための請願」不採択

 今日の稲城市議会建設環境委員会で、3月の定例会から継続審議となっていた「稲城の宝-南山の自然を未来の子供たちに残すための請願」が不採択となりました。あとは29日の本会議でどうなるかですが、3月定例会での補助金凍結動議の否決という結果から考えて、総会での不採択も確実でしょう。

 私は市民として、今日の建設環境委員会の不採択を支持します。その理由は以下の通りです。

 まず、現在の南山は地権者だけに維持管理の負担を負わせるというアンフェアな状況ですが、この地区を市の財源で維持管理することは不可能です。住民参加型ミニ市場公募債で資金を調達せよという意見もありますが、稲城市の財政規模から考えてそんなことをすれば一瞬で実質公債比率35%を越えて、財政再生団体に指定されてしまいます。また、地権者の同意が得られていない現状で都が同地域を買収することは不可能です。

 また、盛り土造成の問題点を指摘している人物は土質力学に関しては全く門外漢であり、その主張は土質力学の専門家による科学的検証を経ていません。雨水の排水計画に関しても、100ミリ超の豪雨が何時間も降り続くわけではないことを考えれば、調整池によるバッファリングで三沢川の排水容量の問題は解決可能という、三沢川分水路の設計・施工を担当した技術者の指摘があります。

 事業の採算については既に協力企業である野村不動産・大成建設との間に土地売却の契約が成立しているので、少なくとも地権者側へのリスク増大懸念はありませんし、よしんば地権者が損をしたとしても市財政への影響はありません。日本国は共産主義国家ではないので、リスクをとって個人が合法的に事業を行うことを妨害することは社会正義に反します。

 市が充分な説明をしていないとの主張は、市が公表している詳細な説明文書や、市担当課に事業について問い合わせた際の対応を考えると、個人的には全く同意出来ません。

 南山東部の生態系が現状よりも貧弱になることは否定出来ませんが、地権者側が都の規定を大幅に上回る緑地の保全・創出に同意していることを考慮すると、これ以上の負担を地権者に要求することは、社会正義に反すると考えます。