・確認すべきポイントは「誰がどこに向かって贈与を行っているのか?」「贈与物は何か?」「贈与物が回流するルートは?」「贈与物が回流している環(=コモン)にアクセス出来るのは誰か?」
・里山は薪炭や緑肥、木材、キノコなどを地権者や入会権所有者に贈与
・地権者や入会権所有者は里山の手入れをすることで、彼らが必要とする天然資源が生み出されやすいようにした
・薪炭や緑肥、木材などはいずれも現金収入や農作物の収穫など、生活の維持に直結する資源であった
・里山に産する資源の利用は厳重に管理されていた
・地権者や入会権所有者は里山の手入れをすることで、彼らが必要とする天然資源が生み出されやすいようにした
・薪炭や緑肥、木材などはいずれも現金収入や農作物の収穫など、生活の維持に直結する資源であった
・里山に産する資源の利用は厳重に管理されていた
自然→(天然資源)→地権者や入会権所有者
地権者や入会権所有者→(維持管理のための労働)→自然
地権者や入会権所有者→(維持管理のための労働)→自然
・贈与物は「天然資源」と「労働」で、里山から人間への給付と、人間から里山への反対給付という双方向の流れがある。このコモンにアクセス出来るのは里山とその地権者・入会権者(クローズドなコモン)
・現代の里山は「持っているだけで金がかかる」という点で、かつての里山とは正反対である
・北米先住民のポトラッチもトロブリアンド諸島のクラ交易も、贈与が連鎖していくことでコミュニティが再生産され続けるという構造があるが、かたまり型里山コモンズに贈与の連鎖は見あたらない(贈与の連環構造の構築が不可能という意味ではない)
・トラスト地購入資金の他、トラスト地のランニングコスト(維持管理費用・租税負担)も考える必要がある
・北米先住民のポトラッチもトロブリアンド諸島のクラ交易も、贈与が連鎖していくことでコミュニティが再生産され続けるという構造があるが、かたまり型里山コモンズに贈与の連鎖は見あたらない(贈与の連環構造の構築が不可能という意味ではない)
・トラスト地購入資金の他、トラスト地のランニングコスト(維持管理費用・租税負担)も考える必要がある
贈与の構造
トラスト出資者→(出資金)→(トラスト地)→市民
・現在のモデルでは贈与が一方通行となり、環が成立していない為、贈与の連環構造による贈与物の増殖が発生しないように思える
・例えばトラスト地にかかる固定資産税と都市計画税、トラスト地にあって利用者の便益の為に使用される建物(あれば)にかかる固定資産税をゼロにするなどの条例が成立すれば、ランニングコストのうち一番痛い部分が無くなる。同時に
・例えばトラスト地にかかる固定資産税と都市計画税、トラスト地にあって利用者の便益の為に使用される建物(あれば)にかかる固定資産税をゼロにするなどの条例が成立すれば、ランニングコストのうち一番痛い部分が無くなる。同時に
市民→(税金免除)→トラスト地
という贈与の反対給付の回路が開かれる。この場合、出資者に反対給付は届かないが、少なくともトラスト地と市民の間での贈与の環は成立する。その場合、贈与の構造はこうなる。
トラスト地→(各種のレクリエーションの場・景観)→市民
市民→(貨幣〈税金免除〉およびボランティアによる維持管理)→トラスト地
市民→(貨幣〈税金免除〉およびボランティアによる維持管理)→トラスト地
ただし、0.5ヘクタールの山林の維持管理を素人の市民ボランティアだけで回せるかどうかは疑問。プロによる有償ボランティアがあると心強い。
・屋敷森の環境調節機能を活用出来る住宅デザインを行うことで、贈与の構造は割と簡単に成立する
贈与の構造
里山コモンズ住宅購入者→(資金・管理労働)→里山コモンズ(屋敷森)→(環境調節機能・良好な住環境と景観)→里山コモンズ住宅購入者
・屋敷森による環境調節機能は貨幣に換算出来るので、販売時には強みとなる。
・限られた利用権者(住宅購入者)が資金や労働力を提供しあうことで、現実的で貨幣に換算出来る利得を獲得出来るという点では、トラスト地よりもむしろかつての里山の経済に近い。
・基本的に人家に隣接した空間であり、また住宅購入者と屋敷森の間での贈与経済の回路が完成しているので、居住者以外の立ち入りや利用は排除あるいは制限しておいた方が、話がややこしくならない。
・限られた利用権者(住宅購入者)が資金や労働力を提供しあうことで、現実的で貨幣に換算出来る利得を獲得出来るという点では、トラスト地よりもむしろかつての里山の経済に近い。
・基本的に人家に隣接した空間であり、また住宅購入者と屋敷森の間での贈与経済の回路が完成しているので、居住者以外の立ち入りや利用は排除あるいは制限しておいた方が、話がややこしくならない。