里山に人を植えろ

 今日は地元自治体の市民会議でした。

 私が参加しているグループの議論のテーマは森林保全。2時間の議論の間には色々な意見が出ましたが、私はここ2年ばかり多摩地域の里山の大半を見て回った経験を生かして、なるべく具体的な議論になるように心がけました。例えば多摩地域で行政によって保護されている緑地の数は多いのですが、それらは基本的に筋が良い緑地なんです。特徴的な地形や植生が残っていて、地元のコミュニティ内にもその緑地をメンテしようという動きが継続的に存在している。例えばあきる野の横沢入とかね。町田の小野路もそうだし、狭山のトトロの森もそう。

 うちの近所には残念ながらそういう緑地はありません。ですが、メンテをしていけば筋の良い緑地にすることが出来るのも事実。となれば、市内にどうやってそのような動きを生み出していくかが重要です。

 そこで私が提案したのが、里山の遊び方を教えられる人材の育成です。

 たしかに市内には区部に較べれば豊かな森林はある。ですが、今、それらの緑を残そうと言っている市民のほぼ全てが、その緑地に足を踏み入れていないんです。見るだけの緑。

 でも、私は市内の里山はくまなく歩き回って地形や植生を頭に入れてますから、ここは強気で言えるのですが、実際に山に入ってみれば、不法投棄された粗大ゴミと放置された落葉樹林という、荒んだ山でしか無いんですよ。地面はびっしりネザサに覆われていてね。遠くから見ている分には良いかもしれませんが、入って楽しむことが出来ない、そんな緑地なんです。実は。

 この状況、実は日本の海の伝統的なありように近いんですね。日本の海ってのは基本的に生業の場でしたから、要は食えれば良いし、食い扶持が稼げないんならどうなったって構わないという扱いをされてきた。だから平気で海にゴミや吸い殻を捨てる人が多い。漁師でさえね。

 そんな状況を変えたのは、海で遊ぶ人たちです。サーファーやパドラーの全てがそうだとは言えないにしても、心ある人たちが海を大切にするという思想を広めてきたのは事実でしょう。彼らによって、日本の海は生業の場から娯楽の場へと幅が広がったと言えます。

 私が考えているのは、その種の人材を市内の山に配置するということ。荒木さんやデュークさんのような人間が近所の里山に居て、里山での遊び方を指南してくれるとしたらどうか? 市民と里山の関わり方は確実に変わってくるはずです。単に宅地開発を止めれば良いってもんじゃないんです。人を育てていかないと。