「いなぎだね!」

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 昨日、息子と絵を描いて遊んでいたわけです。この絵は適当に私が描いたものなんですが、息子はこれを見て一言。

 「いなぎだね!」

 2歳になったばかりなのに、自分の街はこんな感じの緑の丘の上にあるんだってことを理解している。ちょっと感動しました。

 さて、一昨日でしたか、スタジオジブリの高畑勲さんが朝のニューズショーに出演して、南山東部地区区画整理事業についてコメントされたのだそうです。どういった内容なのかまではわかりませんが。

 南山の問題が広く知られるのは良いことです。ただし、開発反対なら反対で、もっと現実的な案を考えていただかないと、現状ではとにかく「区画整理は止めろ」というメッセージしか伝わってこない。

 私が現在理解している状況をもとに考えると、南山東部地区区画整理事業は以下のような幾つかの将来を取り得ると言えます。

1:区画整理事業が実施され、全国どこにでもある建て売り住宅地が出現する

 これは最悪の展開です。しかしこの展開を辿る可能性は50%近くあるでしょう。ただし世界同時不況の時代ですから、何らかの付加価値を宅地全体に付ける工夫が無ければ、なかなか売り切ることは出来ないのではないかと思います。

2:区画整理事業が実施され、里山コモンズ案を採用した革新的な住宅地が実現する。

 組合、市当局、「守る会」が狙っているのがこの線です。ブレーンとして多摩ニュータウンの街作りや多摩市の長池公園で意欲的な里山保存活動を展開している建築家・コンサルタントのグループが協力しています。この展開を辿る可能性は30%前後かと見ています。

3:区画整理事業は頓挫し、虫食い状の無秩序なプチ開発が行われる。また相続税対策で平地部の農地が売りに出されて宅地化される。

 これは最悪の下の展開ですね。区画整理事業を止めても地権者の租税負担は残りますから、事態はさらに悪化するでしょう。可能性は20%くらいあると思います。

4:南山が都立公園化され、里山は保全される

 ベストの展開はこれでしょうが、可能性は小数点以下かと思います。もう区画整理事業が始まってますし、南山の東側だけでも土地の買い取りだけで最低250億円、公園整備費用全体で見ると500億円くらいはかかるでしょう。新銀行東京で現都知事が溶かした1000億円があれば南山全体を都立公園化出来たでしょうが(苦笑)。

 ちなみに稲城市の財政規模は年間450億円程度です。里山を丸ごと保全する費用が、その規模の自治体でどうこうできる金額でないことは明らかです。やるなら都か国が動くしかありません。仮に稲城市が補助金支出を止めて区画整理事業を破綻させたとしましょうか。その後の展開は上記3になります。最悪の下というやつです。

 南山東部は、いわばもう手術室に入って手術が始まった重病人です。手術を中断しても病気は治らないし、それどころか患者の体力が無駄に失われるだけという段階に来ています。まだ工事が始まっておらず、世界遺産級の価値が国際的に認定され、国民的な保全の議論があり、国土交通大臣が反対している鞆の浦埋め立てとは全く状況が違う。

 たしかに南山が保全されればそれに越したことはありませんが、現実的に取り得る最善の策は上記2+南山西部の都立公園化に向けた運動の展開だと思います。