(以下、全文転載)
「事業仕分け」で「私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助金」が「廃止」という、全国初の結論が出されたとのこと。そうして浮かせた年間6000万円あまりの財源を何に使うのか、より有意義な使い途が準備されているのかも非常に興味深いところではありますが、市内に賃貸住宅が数多く存在し(流動的な人口が多い)、なおかつ今後も南山東部地区や坂浜平尾地区、稲城長沼駅前地区、南多摩駅前地区など数多くの区画整理を予定していて、新規来住者が2万人程度は来るであろうという予測を建てている本市において、「私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助金を廃止」するという施策の持つ意味もご一考いただければと思います。
「子ども手当があるから良いじゃないか」との意見もありましょうが、同手当は保護者の所得によらず定額13000円、私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助金は保護者の所得により金額が9400円から3200円と幅広く設定されています。この両制度を「似たようなもの」として単純置換しますと、所得が低い世帯ほど、手当額の増え幅が小さい(生活保護世帯は9400円→13000円で月3600円増、高額納税世帯は3200円→13000円で月9800円増)という逆進性が発揮されるのです。
もちろん「納税額が少ないくせに子育てをするような世帯は市の財政に寄与しないから、出来るだけ引っ越して来ないで欲しいし、今いる世帯も私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助金が出る近隣自治体に出て行って欲しい」というような深謀遠慮のもとに廃止が決断されたというのであれば、それはそれで一つの見識なのかもしれませんが、今後の人口減時代、自治体間の住民獲得競争が既に開始されている昨今、「東京都で唯一、私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助金を廃止しちゃった自治体」というキャッチコピーを背負うという選択に進む前には、幅広い市民的論議が必要ではないでしょうか?