いつの間にか経営者

 「南山の自然を守り育てる会」は、理事会での議論の結果、南山の街作りにも関わっていく途を選択されました。了解です。それならば、彼らをサポートする街作りのプロの方々も、安心して実務に取り組んでいけるはずです。

 さて。この決断によって、実は大きな変化が「南山の自然を守り育てる会」の幹部の方々に訪れました。それは、彼ら彼女らが「自然保護団体の幹部」であると同時に「コミュニティビジネスを展開する企業の経営者」にもなったということです。

 とても大事なことなのでもう一度書いておこう。

「自然保護団体の幹部」であると同時に「コミュニティビジネスを展開する企業の経営者」

 両者は具体的には何が違うのでしょうか? 団体の性格で言いますと、前者は「やりたくないことはやらなくても良い」立場です。市民有志のボランタリーな活動ですから。後者は違います。ビジネスを展開する以上、取引先との責任ある関係が発生します。組織そのものも、市民有志のフラットな集合体ではなく、トップダウンの意志決定が可能なものに変化しています。トップの判断で、下の人間に「これをやりなさい」と言える仕組みになっているのです。

 その権力を与えられる代償として、経営幹部は組織のパフォーマンスを最大化し、組織の目標に対して最善の行動を採り続ける義務が発生します。経営者なんですから。これまでのように自由でざっくばらんな発言をすることも出来なくなります。経営者なんですから。個人的感情からすれば本当はやりたくない判断や行動でも、自らの気持ちを殺してやらなければならない場面も訪れます。

 だって、それが経営者の仕事なんだもん。経営者として、上に立つものとしての自覚。覚悟。責任感。大いに期待しています。