そして8割も残った

 初回のガイダンスで微妙な空気に包まれた「多文化の世界」の講義ですが、2週目も意外に学生は残っていましたね。半分くらいに減るかなと思っていたんですが、目算では2割程度しか減っていませんでした。講義が始まる前に学生を捕まえて話を聞いてみたところ、一応、最後の試験に向けてチャレンジすることにしたのだそうです。

 学部時代にお世話になった青木先生、博士論文の副査をしてくださった佐々木先生などに講義プランを話してご意見をうかがったところ、「特に問題無いんじゃないの」「大学教育というのは予め用意された正解を暗記してきて回答用紙に書き写すようなものばかりではないのだから、それで良い」と言っていただけましたし、教える側としても思い残すことが無いように持ちネタ全開でいきますよ。

 2週目は「何故、多文化などという言葉が流行り始めたのか?」というお話。私が学生だった19年前にはそんな言葉は殆ど見かけなかったですものね。これについては、「かつては他国語の文法と語彙さえ身に付ければ外国人相手の仕事が出来ると思われていたが、言語の背景にある価値観や歴史や習慣や制度などを知らなければ話が通じないことが実感されたんだと思う」「特にインターネットの発達に伴うグローバリゼーションの異常な進展によって、異文化と関わる機会が格段に増えた(揉め事も増えた)」ということを説明しました。

 次に、文化という概念の歴史を説明したのですが、これは最初のところで時間切れ。3週目に持ち越しです。この部分では出来ればピアノが教室にあると面白い話が出来るのですが、1202教室にはあっても1206教室には無いんだよなあ。ピアノ。金沢大の時は音楽教育専攻だけあってどの教室にもピアノが最低1台(笑)はあったんですが。

 以下、今後の講義内容予定

3週目 「文化」概念の歴史
4週目 アイルランド音楽の剽窃と奪還
5週目 現代アイルランド音楽の自己表象の戦略/「リヴァーダンス」を読み解く
6週目 多文化主義政策の幾つかの途
7週目 ろう教育と手話と人工内耳
8週目 障害者文化を巡る論争
9週目 聴覚障害と音楽
10週目 ミクロネシアにおける航海カヌー文化の抑圧と復興
11週目 ポリネシアにおける航海カヌー文化の抑圧と復興
12週目 「贈与」という戦略の可能性