文壇小説だ

 映画の話が国内では先行していたので、5巻はマリア・デ・カストロと隊長の不倫話で、言ってみれば芸能界もの・・・・だと思っていたこの私です。

 ですが、何か違う気配が漂ってきております。3巻のアタマの方でイニゴ君と一緒に火事場に突っ込んでいった若い兵隊さん。憶えておられますか? 彼が5巻ではスペイン文壇の新星として登場してきます。もちろんケベ爺も文壇バトルは得意ですやね。セルバンテスは隊長がイタリアに居た頃に亡くなっているのですが、ロペ・デ・ベガはまだまだ元気なご様子で、ケベ爺とワインを酌み交わしております。

 ロペ先生は露出度高いですね。いや、決してマラガで海水浴に興じているということではなく、ほぼ1章がロペ先生の話に充てられているという意味。今回の驚きは、ロペ・デ・ベガが「無敵艦隊」に乗り込んでイングランド遠征に参加していたってことですね。セルバンテスも「無敵艦隊」の頃に兵役に就いていたわけで、実はこの二人は同時代人だった。全く同時期に画壇にはエル・グレコが居て、文壇にカルデロン・デ・ラ・バルカが出てきた頃には画壇にベラスケスが出現しちゃうんですから、確かにこれはスペイン文化の黄金時代という他無いですね。

 レベルテの旦那が時代小説を書こうとした時に、この時代を選んだ理由が良く解ります。しかし隊長もベラスケスにケベードにロペ・デ・ベガにカルデロン・デ・ラ・バルカって、文化人に友達多すぎ。