17世紀スペイン化しつつある我が祖国

 すごい新聞記事を見つけてしまいました。

==
4月9日0時7分配信 毎日新聞

 政府の教育再生会議は8日、公立の小中高校への競争原理導入を求める提言の素案をまとめた。行きたい学校を選べる学校選択制を拡大した上で学校予算を児童・生徒数を重視した配分に変更することで、人気校が優遇されるよう促す。同時に学校の統廃合の推進を打ち出し、人員や財源の効率化を求める。
 9日の同会議第1分科会(学校教育)に提示し、5月の第2次報告に盛り込むことを目指す。
 学校選択制は、市町村教育委員会による指定ではなく、保護者や子どもが通学先を決めるため、人気の高い学校に児童・生徒が集まる。学校予算は従来、職員数や設備に応じて配分されているが、再生会議は、児童・生徒数が多く集まる「人気校」に予算が手厚く流れる仕組み作りを促す。
 教員給与も現在は年功序列が基本だが、勤務評定に応じて現行水準の80~120%の幅に弾力化し、優秀な教員を処遇。教員の一般公務員に対する優遇を定めた人材確保法を改正し、教育予算に占める人件費引き下げを図る。【竹島一登】

==
 
 いわゆる新自由主義、ありとあらゆる規制を撤廃して世の中を「万人の万人に対する闘争」状態に戻すのが一番正しいという考え方の公教育バージョンですねえ。・・・・・正気かよ。

 一見すると、「競争しあうことで高め合うんだから何も問題無いじゃないか」と思える文面です。ですが、これ、色々と裏があるんですよねえ。一言で言えば「強者の総取り」にお墨付きを与えるルール。

 ざっと見、このルールは以下のような問題を孕んでいると思います。

・人気校に予算を手厚く配分するということは、立地や歴史から既に人気校になっている学校はヨーイドンの状態で予め先を走っていることになります。
・既存の人気校の周辺は、人気校があるという理由で不動産価格が高いので、低所得者層には入学への障壁が大きくなります。だって遠くに住んで通学するにも交通費かかるからね。
・既存人気校を別にしても、予算配分で差を付けるということは最初の出足で全ての勝負が決まってしまいます。人気を集めれば集めるほどお金が入ってくるんだから、一旦出遅れたら挽回は不可能でしょう。
・そして新しい人気校の周辺も地価が上昇し、低所得者層ははじき出されていきます。
・高校では学力による選別が出来ますが、入学のための学力は塾や家庭教師である程度上積み出来ますから、ここでも高所得者層有利です。
・全体として低所得者層の子弟は人気校には入りづらくなり、予算を少なく配分される不人気校に行かざるを得ないようになります。
・高所得者層の子弟は予算を潤沢に配分されるエリート校、低所得者層の子弟は最低限の予算しか回ってこない底辺校という二極化が激しくなりそうです。そして高所得を期待出来る職業は高学歴者の方が就職しやすいので、この格差はどこまで行っても埋まりません。
・教職員の待遇面では、「仕事の出来る人材には沢山給料を出す政策」と「仕事の出来る人材が欲しいので給料を多めに設定している政策の破棄」を同時にやろうとしています。こういうのを支離滅裂というのではないでしょうか。

 いやはや。イニ坊やケベ爺が聞いたら笑い出すようなことを思いつく人がいるものです。

Una qué tierra hermosa esto sería…