奈倉洋子『グリムにおける魔女とユダヤ人』読了

奈倉洋子『グリムにおける魔女とユダヤ人』読了

日本語では魔女と訳される単語も原著では様々な背景を持つ幾つかの単語に分かれていること、中世末期から近世にかけての魔女狩りの影響や、19世紀初頭のドイツの倫理観の影響、さらに商業出版としての童話集という事情や、挿し絵の表現を通して、善悪両義的な呪い師や妖精、古代の女神などが、年老いた邪悪な女魔法使いというイメージに収斂していったという分析など、なかなか面白い。