さて、さらに細かい解説を続けます。
今日は歩兵の中での分類。
以前ご紹介したように、当時の戦場の主役は長槍(パイク)兵でした。そして隊長がやっていたのが銃兵。
隊列を組んで戦う歩兵は、基本的にはこのどちらかでした。ただし役割は多少違います。長槍兵は白兵戦での殴り合いが仕事。銃兵は白兵戦になる以前に遠距離から敵の隊列を撹乱するのが仕事。ですから、敵の長槍兵と味方の長槍兵が接触する以前に、銃兵は長槍兵の隊列の後ろに下がるか、両翼に移動してしまいます。白兵戦には参加しない。
余談ですが、その後、小銃が銃剣を装着出来るようになると、長槍兵は廃れてしまいます。長槍の代わりに銃剣で戦うようになるんですね。
さて。歩兵の戦闘はこういった隊列を組んでの戦闘だけではありませんでした。散兵戦というのですが、要するに隊列を組まないバラバラの状態で行う戦闘です。具体的には、長槍兵の隊列同士が接触する以前に彼我の中間に展開して、敵兵を牽制する役割。もちろん長槍兵が接触する前に安全な場所に引き上げるのは変わりません。
あるいは敵の塹壕や陣地に殴り込んで行う白兵戦。隊長が一番得意なのがこれですね。昼間にでかければすぐに発見されてマスケット銃で狙い撃ちされてしまいますから、寝込みや朝方を狙って突っ込んで行くわけです。
なお、ナポレオン戦争より後、後装式の小銃と高性能な野戦砲が一般化すると、歩兵方陣による戦闘は完全に無くなり(良いマトになるだけですから)、散兵形態での戦闘のみが行われるようになります。