先日、ヒストリーチャンネルで「聖杯」という番組を放送していました。
あれは多分「ダ・ヴィンチ・コード」が出る前に作った番組でしょうね。『レンヌ=ル=シャトーの謎(Holy Blood and Holy Grail)』あたりに触発されて昔作った番組なんじゃないかと思うのですが、その中で非常に笑えたのが、12世紀くらいの甲冑を実際に着込んで模擬戦闘をしてみるシーン。
もちろんああいった甲冑を着てやる戦闘は本来は騎乗して槍を持ってというものなのですが、何故かツーハンドソードを持ってのチャンバラを試していました。完全に装甲された戦士を討ち取るのであれば、地面に倒してから甲冑の隙間にナイフをぶっ刺してとなりますから、ツーハンドソードで殴り合っている限りはまず怪我なんかしない。素人でも安心というわけでしょう。
さて。その甲冑なんですが、大笑いしたことに、あれ、自分ではヘルメットを着脱することも、バイザーを上げ下げすることも出来ないんですね。肩や肘の関節がそこまで曲がらないので、手が頭に届かないんです。となると、ツーハンドソードを持っても気の利いた剣技など使えたものじゃない。重さに任せてブンブン振り回すだけ。
あれはもう、槍を構えて騎兵突撃するか、馬上槍試合に使う以外無いでしょう。自分一人では着ることも脱ぐことも出来ない、とんでもない代物です。ですからアラトリステの時代には、見世物としての馬上槍試合に使うくらいになっていたのですね。かのマウリッツ・ファン・ナッサウなど、オランダ軍から重装騎兵を廃止してしまったといいます(でも3巻には出てきているような・・・・?)。