以前お伝えしたPollap島のPwoの儀式の件ですが、またいくつか情報が入ってきました。ミミ姐によれば、Pwoの儀式は実はハシゴというか、二カ所で行われるんだそうです。どっちが先かわからんですが、Pollap島とPulusak島で順に開催されるとのこと。早いほうが5月末開始、遅い方は6月末開始みたいですね。
それにしてもですよ。1990年にラモトレックでユルピイ師がPwoの儀式を復活させました。1997年にはエペイマイ師がポンラップで。2000年にはマウ師がやはりポンラップでPwoの儀式をして、さらに2002年ではサタワルでも開催されました。
そして今年はハシゴですよ。
たしかPwoの儀式はユルピイ師が復活させるまでもう長いこと行われていなくて、その前にPwoがあったのは1952年だったとか、どこかで読んだような記憶もあります。だから、プルワットにラプウィさんという、マウ老師と同年代の有名な腕利きの航法士がおられて、この方は自分の航海カヌー「セイロアム」号でサイパンやポンペイへの往復もこなしているし、後進の指導もしておられるのですが、どうやらパルゥ(Pwoの儀式を済ませた航法師)ではないらしいんですね。プルワットで最高の航法士とされているのですが。
実は、トーマス・グラッドウィンという人が1970年に書いた本「East is a Big Bird」にこのラプウィさんの話が出てくるのですが、グラッドウィンは「ラプウィはまだ航法師になるための儀式を済ませておらず、少しあせっている」と書いています。年長の航法師たちが儀式をやってくれないので困っていると。
それが1960年代の調査ですから、1952年以降、ずっとPwoの儀式が途絶えていたとすれば、ラプウィさんはパルゥになりそびれたまま、ということになります。
Pwoの儀式が廃れたのは、一説にはキリスト教の影響(キリスト教は露骨な土着の信仰の儀式を妨害することが多い)とされていますが、それがここに来て若干の盛り返しを見せているのは、心強いことです。今度のPwoでも、メッツガーさんを含む複数のメディアの取材が入るそうですし、外部からの注目が後押ししているのかもしれませんね。
実は私はずっと疑問に思っていることがあります。ユネスコの世界文化遺産の無形文化財編。正式には「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」。登録条件はこちらなんですが、
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04090303/001.htm
こんなもん、ミクロネシアやタウマコの航海術なら、申請即審査通過だと思うんですがね。ミクロネシア連邦はユネスコに加盟してるんだし、何で申請しないのかなあ。ソロモン諸島政府はあまりタウマコの航海カヌー文化復興にいい顔をしていないらしいですけども、使いようによっちゃあ観光資源になると思うんですが・・・。